「『大人』不在の物語」
水魔女って、作中に「真っ当な大人」がいなかったよね。メインキャラの大半が10代の少年少女なのに、
彼らを守り、助け、道を誤った時にはそれを正してくれるような、
「保護者、指導者」といった存在がほとんどいなかったなぁ、って。
学園が舞台なのに、
「生徒たちの味方の、頼りになる先生」が一切登場しなかったのは、
「説教くさくなるから」……、だったかな?
確か、スタッフのインタビューか何かで語られていたように思います。
(うろ覚えの上にソースを確認する気力がなくて、ごめんなさい)
でも、最初に読んだ時にそこまで違和感や驚きはなかったように記憶しているので、
それなりに説得力のある理由だったように思います。
でも、あんなめちゃくちゃな話になるなら、
やっぱり、「頼れる大人」はあの世界にいてほしかったし、
今からでも遅くはない、現れてほしい、と思ってしまいます。
ちなみに、先に公開した
「水魔女再考・7:ベルメリア・ウィンストン」、
「(同上)8:フェン・ジュン」、
「(同上)9:プロスペラ・マーキュリー」、
「(同上)10:ヴィム・ジェターク」、
そして今回の「オルコット&ケナンジ・アベリー」は、
もともとは「『大人』不在の物語」という1つの記事として書いていたものです。
最初にガガガッと書き出した時に、思ったより大ボリュームだな、
それに、タイトルとはちょっとズレた内容にもなりそう、と気付いて、
それぞれ切り出して単独でまとめ直したのでした。
オルコット(リドリック・クルーヘル)
そんなこんなで、みんな大好きオルコットさんの時間だよ!S1の終盤から一応登場してはいるものの、第15話以外はほぼ出番がなく、
最終回でもセリフは一言だけだったりするのに、大人気なキャラですよね。
私も大好きです!
「息子を亡くした(助けられなかった)父」であるオルコットさんと、
「父を亡くした(自ら手にかけてしまった)息子」であるグエルくん。
この2人が「テロリストとその捕虜」として出会って、
あの一晩の出来事で、お互いに内面が大きく変化した、
というのを鮮やかに描いてみせた第15話は、やっぱりすごいなぁ、と思います。
(個人的には、あのエピソードがあれほど深く心に響いたのは、
リアルで4ヶ月ぶりくらいに新しいグエルくんが見られたのと、
この先、スレッタやミオリネにも、こういうドラマチックな見せ場が
用意されているという期待値が高まったから、というのもありましたが)
(完全に期待外れでしたけれども……)
ただ、でも、やっぱりもうちょっと、
オルコットさん&グエルくんのやりとりを見たかったなぁ。
まさか、グエルくんが次回でもう宇宙に帰ってくるなんて思いませんでしたよ。
というか、グエルくんは最終決戦(仮)でようやく帰ってきて、
スレッタのピンチを救ったりするのかな、とも予想していたので、びっくり。
グエルくんは、寮を追い出された時も落ち着き払ってキャンプを始めたり、
退学を命じられても学園を出て偽名でバイトを始めたり、
と笑っちゃうほどテキパキしているところがあるけれど、
テキパキ具合としては、オルコットさんもそんな感じだったのかなぁ。
軌道エレベーターへ案内する代わりに
何か交換条件を突きつけたりとか、したのかな、
と実は本編最後まで気になっていましたが(そもそも捕虜だったわけだし)、
どうやら、ほんとうに案内しただけ、みたい?
あ、いやいや、案内しただけではなくて、
あのお洋服(穴あき黒パーカー)とか、でっかい靴とか、
お着替え一式も用意してくれたんだよね。
あと、きっとお風呂とかシャワーの手配もしてくれたんだよね。
そのへんの川とかですませたか、地球の安宿なんかを利用したのか、
細かいことは不明だけれども。
結論:うーん……、いい人……!
ところでオルコットさん、亡くした息子のことを今も大切に想っていたり、
ソフィのお墓の前で集まる子どもたちを見守っていたり、
シーシアを弔うグエルをじっと見つめたり、
子どもたちとの接点がやたらと多いキャラなのですよね。
そもそも現在はテロリストとして活動していて、罪も犯しているわけですが、
贔屓目かも知れないけれど、その善性にどうしても期待してしまうなぁ。
グエルくんを地球に帰すまでに、どんなことを話したのか、知りたい知りたい!
擬似親子としての彼らのエピソード、いくらでも見たいです!
オルコットさんについては、水魔女において不自然なくらい欠如している
「真っ当な大人」成分を大いに感じられるので、
グエルくんだけではなくスレッタにも、どこかで接点があればなぁ、
と今でもこっそり願ってしまいます。
なので、二次創作(本編軸でもif軸・別時空(パロディ)でも何でも)で、
何らかのかたちでオルコットさんとスレッタの関わりがあったりすると、
すんごいうれしくなっちゃう〜!
特にスレッタ、お父さんがいなかったわけだし、
水星時代には「自分たちの味方をしてくれる男性」って
いなかったようにも思えるので、
もしも「この人には頼っていいんだ、甘えてもいいんだ」と気付いたら、
いっぺんに懐きそうなイメージがあります。
(これはグエスレに関しても思っていることですが)
そういえば、オルコットさんとプロスペラ(エルノラ)も、
「子を亡くした親、片腕が義手」という共通点があるんだよね。
オルコットさんがドミニコスに在籍していた時期がよくわからないので、
彼もヴァナディース事変に関わっていたのかどうかは不明ですが、
魔女狩り部隊の一員vs魔女として、
何かこの先、この2人も対峙したりするのかも!?
とワクワクしていた時期がありました。
ぜーんぜんなかったですけどね! アッハハハ!
ケナンジ・アベリー
私、この人も好きなんだよね。というか、水魔女で嫌いなキャラっていないんですよ、ほんとうに。
ただ、でも、この人、何のためにS2に出てきたのかよくわからない……。
グエルくんが「プリンス」の情報に辿り着いたこと以外、
ぶっちゃけわがままボディを披露するだけで終わっちゃったよね。
「プリンス」の件のためだけに用意されたキャラじゃなかったと思うんだけどなぁ。
S2はピンポイントで見せ場を与えられたキャラもいるけれど、
全キャラがまともに動かないままで、振り返る度にイライラするぅ〜!
まぁ、怒りは一旦よそへ置いとくとして、ケナンジさんですよ。
プロスペラにとっては、ヴィムの直接の仇でもあるし、
もしかしたら、その事実はお互い知らないままかも知れないけれど、
ヴァナディース事変の当事者同士として、
例えばクインハーバー行きの時には意識するなり警戒するなり、
した方が自然だったと思うのに、そういうのはなかったですよね。
「もはや復讐は目的ではない」ということを表したかったのかなぁ。
視聴者としては、ここにも何らかの絡みがあるのかと予想してしまっていたのですが。
プロローグ時点でのスリムなイケメンから一転、激太りしてしまったことを、
「魔女狩り部隊としての任務のストレスが原因なのでは」
と推測するご意見を見たことがあって、おおー、とも思ったのですが、
でも、本編中ではそこらへんに触れることはなかったのですよね。
どうしてわざわざ、あそこまで21年間の変化を印象付けるようにしたのかなぁ。
もしかして、これもバズり目的だったんでしょうか?
あ、そうそう、最初に書いたとおり、私はこの人も好きだけれど、
「子どもたちを守り導く、という意味合いでの『真っ当な大人」」
とまではいかなかったなぁ、というのが正直な感想です。
セドに対する態度とか、
「責任は大人が取る」発言のその後がよくわからないとか、
理由はいろいろありますが、「子どもの味方」ではない感じ。
やっぱりスペーシアンは基本的にアーシアンを見下しているものなのか、
職業柄、テロリストと関わりがあった人間は老若男女を問わず許し難いからか、
エリートとして長年を過ごすうちにそうなってしまったのか、
製作サイドがどういう人物として描こうとしていたのかはわかりませんが……。
でも、ドミニコス時代のオルコットさんとは、面識があった……んですよね?
そういえば私、オルコットさんvsケナンジさんのMS戦も見られるのかも、
とワクワクしていた時期があったのを思い出したわ。
思い出しちゃったぁぁ! ヴァアアアア!
そんなのなかったけどー! ヴァアアアア!
いや〜〜〜〜、水魔女、こうしてみるとほんっと、
肩透かしが多かったですよね〜〜〜〜!
「おっ、これはもしかして!」とか、
「これはこの先、何かあるっしょ!」とか、
そういうのがことごとく避けられて、明後日の方向に着地しちゃってさぁ。
私の予想がトンチンカンだった可能性ももちろん大きいけれど、
活かしきれなかった設定が溢れかえっていて、もういっそ、哀れだよ。
あーあ、もったいないなぁ、もう!