この子がこの先どんなふうに変わっていくのかな、って、
序盤ではとってもわくわくしていたんですよ……。
どうして……どうして……。
というわけで今回はミオリネさん、そしてミオリネ&スレッタの関係について
まとめてみたいと思います。
あくまで「グエスレ&シャディミオを推している視聴者の解釈の一例」で、
その他のCPを否定するものではないことをご了承下さいね。
ちなみに、この記事を書いたことで、
物語上のミオリネの描かれ方に対して
これまで自覚していた以上に自分は強い不満を持っていることや、
最終回で受けたショックの中で、
その怒りと悲しみが思っていた以上に大部分を占めていたことにも
初めて気付かされたりしました。あーあ……。
磨かれなかった原石
以前、「最終回感想・4:スレッタの幸せ&自立」にて、スレッタのことを「成長させてもらえなかった主人公」と表現したのですが、
ミオリネもそうだったなぁ、と感じています。
まだたったの17かそこらの女の子だし、今後大きく成長するのかもしれないし、
そのための素養は十分に持ち合わせていたはずなのに、
特に第2シーズンの彼女に対しては
「残念だなぁ、もったいなかったなぁ」という気持ちでいっぱいです。
どうしてこうなっちゃったのかなぁ。
もしかして、直近のガンダム作品でもある鉄血のクーデリアと
キャラが被ってしまうのを避け続けた結果、とか?
あの子は最初から革命を志していて、
序盤では無意識の傲慢や差別もあったけれど、
演説シーンとかはかっこよかったし、好きでした。
ミオリネは、とにかく自身とすぐ手が届く範囲のことしか考えていなくて、
ある意味、視聴者としては親近感も湧くような、等身大の少女でもあったけれど、
その分、伸び代も大きいだろうと期待してしまって、
それが今のがっかり感に反転してしまっただけ、なのかなぁ。
あと、彼女については、よく、
「脚本や制作サイドに贔屓された」と表現されているけれど、
私から言わせてもらえば、むしろ最大の被害者だったように思えてなりません。
視聴者から見ても作中人物から見ても(たぶん)、
自分勝手で考えの足りない子にしか見えなくなっていて、すごく可哀想だった。
序盤で感じた、不器用ながらも相手を思いやっている様子なんかが、
どんどん削がれて、めちゃくちゃになってしまって、悲しかったです。
起業編と総裁選の必要性
本編放映中からすでに、あちこちでよく言われていたけれど、起業編と総裁選は、やっぱりいらなかった気がするんだよねぇ。
まずは、起業編というか、「株式会社ガンダム」について。
ガンダムの呪いについてそこから明らかになったり迫っていくわけでもなく、
義足についてもいまいち中途半端で、
最後にペトラに強引にその要素を消化させて終わるくらいなら
(私の解釈については「最終回感想・8」参照)、
一体何だったんだ、って、正直、思っちゃうよ。
これ、順番を逆にするというか、タイミングを変えて物語の〆に使った方が、
収まりがよかったような気もしています。
例えば、プロスペラがヴァナディース機関の生き残りだと明かされてから、
本来の目的であるGUND医療に辿り着いて、
それが兵器に転用されたプロスペラの怒りと悲しみを理解した上で、
最終決戦後に株ガンを立ち上げて、
カルド博士の遺志を正しく継ぐことを誓う、とかね。
ヴァナディース事変を引き起こしたのは父親のデリングであって、
娘であるミオリネがその責任を取る必要はないけれど、
ほんの少しでもプロスペラの、いや、
エルノラ&エリクトの気持ちに寄り添ってくれたなら、
そういう展開もあったかもしれないなぁ、なんて……。
まぁ、そもそも、株ガン自体、エアリアル&スレッタを守るために
即興で設立しちゃったようなものだから、
こんなのは完全にただの if でしかないのだけれども。
そして、総裁選について。
ミオリネを総裁選に駆り立てたのはプロスペラで、
クワイエット・ゼロ発動までの時間稼ぎや地球行きに利用された
(実際は総裁による承認などは必要なかった?)、
と解釈していますが(「最終回感想・5:エルノラ&エリクト」参照)、
このへんもなーんかグダグダだったし、
スレッタ・ミオリネ・グエルの関係がギクシャクした発端でもあって、
見ていてあんまりおもしろくなかったんだよねぇ。
シャディクが逮捕されたから自動的にミオリネが勝利、
っていうのも締まりのない結末で何じゃらほい、と思うし。
ここらへんのエピソードって、要は
「ミオリネに権限がある状態で、エアリアルを地球で大暴れさせて、
オックスアース管轄のガンダムも全機潰してくる」
っていうのをプロスペラがやりたかった、ってことです……よね?
(あれ? ちょっと自信なくなってきたけど合ってます?)
だったら、総裁選なんてまだるっこしいことカットして、例えば、
「クインハーバーで暴動が起きて、地球側の代表がベネリットの総裁に
不当な治安維持活動についての説明を求めている」
とか何とか、地球行きの理由を向こうに作って、
デリングが意識不明だから娘のミオリネが代行することになって
(本人が覚悟を決めてそうするのでもいいし、人柱にされるのでもいい)、
彼女なりに誠意を尽くそうとしていたのに、……、
っていう展開の方が、まだ共感できそうな気、しませんか?
まぁ、私の拙い代替案は置いといて、本編のミオリネは、
スペーシアン&アーシアンの経済格差・差別問題には興味なさそうで、
でも、総裁選への点数稼ぎのために自分から危険な地域に突っ込んで行って、
焦土と化した地球にショックを受けて急に女々しくなっちゃって、
どうしてこんなに丁寧に嫌われポイントを稼がせちゃうの?
って、放映当時、ちょっとびっくりしちゃったんだよね。
彼女自身は、たぶん、アーシアンのことは差別も嫌悪もしていなかったのが、
あのへんの問題について深い関心を持てなかった理由、なのかなぁ。
でも、グエルくんがホルダーだった頃は、何度も地球行きを試みてたんでしょ?
それに、ノートレットはアーシアンで、自分はハーフでもあるんでしょ?
本編中ではこの設定が明言されなかったと思うので、
それも不思議ポイントの1つなのですが、何だかなぁ。
あと、「私のせいだ……」って落ち込んで引きこもっちゃったのも、
それまでのミオリネとは違和感がありすぎて、
個人的には「んん?」って引っかかってしまいました。
あそこ、あまりの光景に一瞬は恐怖したとしても、
すぐに自分がプロスペラに踊らされていたことに気付いて
「プロスペラァァァァ!!」って宙(そら)に向かって吠えてくれていた方が、
よっぽど彼女らしかったように思います。
(え? 解釈違いですか? そうですか……)
「パートナー」
私はスレッタ&ミオリネについては「ともに『友だち作り1年生』の女の子たちが、
時には衝突したり傷つけ合ったりしながらも、絆を育んでいく物語」
と捉えて視聴していました。
第3話からはグエルくんからスレッタへ、
そして第7話あたりからシャディクからミオリネへの恋心が描写されてきたので、
「なるほど、グエスレ&シャディミオを進行させつつ
女の子2人の『最高のバディ』も見せてくれるんだね」
と期待もしていました。
でも、ヒロイン2人からは、いつしか初期に感じられたバディ感も消えて、
歪な主従関係になっていることもだんだん明らかになってきて、
第17話では、スレッタが対ミオリネだけではなく
人間不信に陥ってもおかしくないくらいの突き放しをされて、
「あれ? これ、ラストまでに関係修復できる?
もしかして『お友だちから始めましょう』EDかな」
と思っていたのです。
なので、本編最終回のエピローグ(3年後)の2人の姿には
「!?!?!?!?」ってびっくりしちゃったわけですよ。
「最終回感想・3:指輪」では自分なりの解釈をまとめてみましたが、
「左手の薬指の指輪」から連想されるものと言ったら、
まぁ、一般的には「婚約・婚姻の証」だと思うので。
えっ、この2人って、そんなに仲よかったっけ?
お友だちにすらなれていなかったように思ってたけど?
あっ、この3年の間に急接近したってこと?
いやいや、その過程こそが大事なのではなくて??
は?? どゆこと??
最終回放映直後は、とにかくショックで混乱していたのですが、
ネット上ではそういうの、
「男女カプ推しだから受け入れられていないだけだろう」
と一蹴する意見が目立っていたように思います。
何言ってんだよ! 違うよ!
私はスレッタとミオリネにも、ちゃんと仲良くなってほしかったんだよ!
もしも自分がスレミオ(スレミオスレ?)最推しだったら、
今以上に荒れ狂っとったわ!
くっつくかどうかも大事だけれど、その過程をこそ見守りたかったんだよ!
雑にくっつけて終わらすな!
過程を!! ちゃんと!!!! 描け!!!!!!!!
ちょっと話は逸れますが、
水魔女の最終回の翌週だったと思うけれど、
プリキュアがとてもいいお話だったのですよね。
今期のプリキュアは、メインヒロインが明るくて元気系の青キュアで、
残り3名のうちの筆頭でメインヒロインの相棒的存在が
おっとりふんわり、しかし芯は強い白キュアなのですが、
これまでの積み重ねがあったからこその、グッとくるエピソードで……。
戦意喪失&変身アイテム喪失状態のメインヒロインが、
その行動に勇気をもらってきた相棒から温かい言葉を返されて、
再び立ち上がるという、プリキュアとしてはお約束的ながらも
じーんとくる、いい回だったのです。
その出来のよさに素直に泣いて、
「どうしてスレッタとミオリネはこうならなかったんだろうなぁ」
って再び泣いて、悔しくなって虚しくなって……。
長年プリキュアを視聴してきて、かっこよくて可愛い女の子たちが
仲間たちと対等かつ強い絆で結ばれていく姿を見ているから、
水魔女では、それぞれの個性や素晴らしさを発揮できないまま
成長もできずに箱庭に閉じこもったヒロイン2人の姿に
よけいに落胆してしまったのかなぁ……。
いやー、でも、以前にも著名な方が指摘されていましたが、
男女間の恋愛描写とヒロイン2人の親愛描写の質量が
あまりにも不均等だったのは、やっぱり視聴者に対して不誠実だったと思うよ。
特に、あの結末で納得させたいのなら、なおさら。
制作サイドと私個人との嗜好のズレがかなり大きかったみたいで、
私に強く印象を残したのは、御三家の男の子たちからヒロイン2人への想いで、
そちらに注目してしまったし、自然と応援するようになったし、
今でもいつか成就してほしいな、と願ってしまうよ。
それに、ヒロイン2人が結婚したとかしないとか、
それが恋愛婚でも親友婚でも償い婚でも経済支援婚でも、
公式本編からはだいぶ気持ちが離れている今となっては
ぶっちゃけどうでもよくなってしまったのですが、
婚姻関係にあるにしては、
ミオリネがシャディクに対する未練を抱えている描写があったり、
それを「小姑」のエリィが把握していたり、
スレッタがあんまり大事にされていないように思えたり
(障害があるのに不便そうな土地に住まわせたり、一緒には暮らしていない?)、
あちこちに引っかかりを残してあって、気になっちゃうんだよなぁ。
よく言われているけれど、この「水星の魔女」という物語が
全24話をかけて何を伝えようとしていたのかが、よくわからない。
あちこちで提示してきた課題の全てが中途半端のまま放置されて、
それでもとにかく、ヒロイン2人が結ばれることを描きたかったのかな、
と思ったのだけれど、作中の描写でもその後のアレとかソレとかでも、
決定的な描写は避けられたり削除されたりしているのが、
何だかすごく、キモチワルイ。
ラジオでもイベントでも
不自然なくらい指輪や結婚したかどうかに触れていないので
(……と思うのですが、勘違いだったらごめんなさい)、
現場でどういう指示が出ているんだろうなぁ、という興味はあるのですが、
小説版などでもぼかしたまま終了するのでしょうかね……。
ちなみに全校集会では、朗読劇の最後にミオリネからスレッタへの
「パートナー」発言があったそうですが、
それを聞いた時は「うまいこと逃げたな」と思ってしまいました。
まぁ、じゃあ、お言葉に甘えて、好き勝手に解釈させて頂きますわね……。
スレッタとの関係・その1(第1〜7話)
さっきもちょろっと書いたけれど、スレッタとミオリネは、「どちらも年相応の自然な交友関係を築いたことのない、『友だち作り1年生』」
だったのだと思っています。
私個人の解釈として、2人の関係の変化を、
なるべくストーリーの順に沿って、以下にまとめてみますね。
水星育ちのスレッタについては、それまで同世代と触れ合ったことがなく、
すぐに吃ったり誰かの背に隠れたりするなど、
人見知りな一面がわかりやすく描写されていたと思います。
それに対してミオリネは、態度も言い方もキツめでいつも堂々としているので、
もしかしたら本人でさえも、
自分が「人付き合い初心者」という自覚がなかったかもしれません。
でも、おそらく幼少時からデリングに交友関係をコントロールされて、
周りからも「ベネリットグループ総裁の一人娘」という目で見られて、
自分自身の素の力で、誰かとの関係を深めていく機会を
ことごとく奪われ続けたまま年頃になっちゃった、と想像しています。
さらにはアスティカシアで決闘のトロフィーにさせられて、
第1話の頃なんて、相当荒んでいたんだろうなぁ。
だからこそ、グエルくんが温室で乱暴狼藉を働いた時、
ビビりながらも止めに入ってくれたスレッタのこと、
内心ではきっと、すごーくうれしかったんだと思うよ。
というか、衝撃的だったのかもしれない。
自分が冷たくあしらっていた女の子が、自分のために行動するなんて、
完全に予想外だっただろうから。
ただ、でも、他者に対する警戒心はたぶんとても強かったし、
第3話で言っていたとおり、そもそもスレッタに要求したのは
「誕生日までに地球へ脱出するから、それまで花婿でいて」
という取引だったんだよね。
だから、第6話ラストで、スレッタがエランさんとデートするのも
応援というか、快く送り出していたりする。
でも、第7話の魔女裁判で、あの昇降台からスレッタが
「お母さん! お母さん!」って小さい子みたいに叫んでいた時に、
代わりに助けたのがミオリネだったことから、その関係が変わり始めてしまった。
あの時、スレッタの中で、
ミオリネがお母さんと同格の存在になってしまったんじゃないかなぁ、って。
あと、スレッタを助ける(エアリアル廃棄を止める)理由として
「決まってるでしょ、あの子の花嫁だからよ!」と言ったり、
「守るわよ、私があんたを」と言ってくれたことで、
スレッタはミオリネのこと、大好きになったんだろうな、と思うけれど、
同時に「『花婿』でいないと守ってくれない、大事にしてもらえない」
みたいに思い込んじゃったのではないかなぁ、と。
ここらへんから、スレッタが「取引」「弾除け」であることを忘れて
「花婿の座」に執着して、ミオリネからの評価や与えられる役割に
大きく左右されていくようになっちゃった……、
と思っているのですが、どうでしょうか。
スレッタとの関係・その2(第8〜11話)
さて、第7話以降、スレッタにとっては母親(プロスペラ)とミオリネが同格の存在になりつつあったと思うのですが、
その一方で、物語の序盤で示されたように、
ミオリネとは「親友」になりたいと願い続けていたことも感じられます。
(だからこそ、取引であることを忘れて
「花婿」であることに固執しちゃった、とも言えるのだけれど)
第10話で、「やりたいことリスト」の1つ、「おそろいのキーホルダー」を
ホッツさん&クールさんで実践しようとしたこととか、後にそれを渡すこととか。
そして、ミオリネの方は、もともとは弾除けとして
スレッタに花婿の座を死守するように言っていたけれど、
株ガンを立ち上げた結果、父親とビジネスの話もするようになって、
これまで冷え切っていた親子関係もわずかながら改善されてきたのですよね。
もう、このあたりで、花嫁とか花婿とかは
たぶんミオリネの中では最重要事項ではなくなりつつあったのでは?
もちろん、17歳の誕生日はまだだったし、
トロフィー扱いも変わらないままだったけれど、
第11話で本人が言っていたように、
地球へ逃げたいとは思わなくなってきたんだろうなぁ。
んで、この時、もしもスレッタに、
「花嫁とか花婿とか、もう、いいの。
取引とか弾除けとかじゃなく、あんたとはちゃんと友達になりたい」
とか言えてたら、まだいろいろ、間に合ったと思うのですよ。
でも実際は、これまでのお友だち付き合いの経験値の少なさから、
すれ違いが起きた時の仲直りの仕方がわからなくて、
結局、「花嫁として」「花婿に対して」要求をぶつけることしかできなくて、
スレッタの依存と固執をさらに強固なものにするに至った(第11話)。
……などと解釈しているのですが、どうなんでしょうね。
ただ、まぁ、スレッタは特に顕著だけれど、ミオリネも、
「目の前のことだけで、すぐにいっぱいいっぱいになっちゃう」とか
「1つに集中すると、他が見えなくなる」という部分があって、
起業して以来、株ガンのことがどうしても最優先になって、
スレッタ個人に対しては、一時的にせよ、関心が薄れていたのかなぁ、とも思う。
温室の管理を業者に委託したのも、エランくん(5号)の協力を頼んだのも、
スレッタへの負担を軽くするためだったけれど、
父親と同じく、やり方が一方的だったよね。
「あんただけに押し付けててごめんね」とか「今までありがとう」とか、
そういうのをまず先に言ってあげてほしかったなぁ。
スレッタがあそこまで自己肯定感が低いってことには、
私もちょっと驚いてしまったし、
たぶん地球寮のみんなも気付いていなかったとは思うのだけれど……。
スレッタとの関係・その3(第12〜最終話)
ミオリネは、第12話ラストのスレッタのあの行為は、自分と父親を守るためだったとわかっているからこそ、
「スレッタを、プロスペラからもエアリアルからも、
そして自分からも引き離さなければならない」
って焦っちゃったんだろうなぁ。
そして、まるで子を想う母親のような口ぶりで、
「あの子には幸せになってほしいの。
ガンダムとか、何にも縛られない世界で……」
とも語っていました。
でも、彼女があの時考えた最善の策だったとしても、
第17話のあの決闘は、見ていてほんとうに辛かったです。
私は、第16話でグエルくんが宇宙に爆速帰還した時、
「スレッタとミオリネの関係修復にも、グエルくん、一役買ってくれるのかな」
と期待していたのですよ。
放映時は、スレッタ&プロスペラの歪な関係や
他者の命を奪うことについて、
スレッタとグエルくんが経験を共有した上で
自身の課題や罪に向き合う展開になると信じていたし、
それは必然的に、スレッタに、
自分はミオリネとどう在りたいのかを改めて考えさせることにも
繋がっていくと思っていたので。
その願いが叶えられなくて、3人全員傷ついて苦しむ展開になって、
今思い出しても、あのあたり、しんどかったなぁ。
あ、私は、この回の「ミオリネさんが17歳になったら、私たち……」とか
決闘中の「私を選んでください!」あたりは、
「プラント・クエタの件やソフィを死なせたことについて
罪の意識をうっすら抱え始めてはいるけれど、向き合うことはできず、
自分の中では母親と同格の存在になったミオリネに対して
『私を嫌わないで! 間違ってないって言って!』と必死で訴えている」
みたいな解釈をしています。
「自分は『花婿』の役割をこれからもちゃんとやっていくから、
見捨てないで! 離れていかないで!」
っていう感じ?
ただ、まぁ、このへんからはますます、人によって見方が全然違いますよね。
私は上記の一連の台詞は、プロポーズ(愛情・親愛)ではなく
依存心に由来していると感じたけれど、
言葉どおりに前者とする人も多かったようだし、
そもそも、制作サイドがこの2人をどう描きたかったのか、
完結した今でさえ、ぶっちゃけよくわからないし。
さて、第18話以降は、スレッタについてもミオリネについても
「こうかな?」「こうかも?」というおぼろげな推測を重ねるしかなく、
何を考えていたのか、正直なところ、よくわかりません。
ミオリネ、そしてエリィ(エアリアル)&プロスペラによる
突き放しの二乗でようやく依存心が抜けたスレッタは、
今度はもう、個人的な感情までもが希薄になってしまったように見えました。
学園内テロの結果の救助活動とか、物資の分配とか、
いろいろタイミングが重なったせいもあって、
まるで慈母のような振る舞いとか、眼差しになっていて。
それが彼女の本質であるとも思うけれど、
こうして改めて思い返すと、スレッタはほんとうに、
抱きしめてあげたくなっちゃうくらい、可愛くて不安げで危なっかしいなぁ……。
クインハーバーから帰還して以来、部屋に閉じこもったミオリネに対しても、
「花婿が花嫁を迎えに来ました」というよりは、
もう「お母さん」とか「母と子」って雰囲気に見えました。
余談ですが、放映当時、あのへんの一連の流れが
「娘(ミオリネ)が初めての挫折で落ち込んで部屋にこもっちゃって、
お父さん(グエル)が声を掛けたけど出てこなくてお手上げで、
ついにお母さん(スレッタ)に来てもらった」
と例えられているのを見かけて、ちょっと笑ってしまったんだっけ。
でもほんとうに、そういう感じだったもんなぁ、あそこ。
そうそう、クインハーバーに行った時のミオリネについては、
上の方で私も批判的に書いてしまったけれど、
彼女なりに覚悟を持って、できることを一生懸命やろうとしていたとも思うよ。
交渉が一旦座礁しかけて、株ガンのPVをぼんやり見ているあの姿は、
心細さを懸命に堪えているようで、痛ましかったです。
さて、スレッタ・ミオリネ・グエルくんが再び合流するあたりからは、
私は物語の展開についていくだけで必死だったし、
決闘に関する設定なども大幅に変更されたようなので、
台詞などから彼女たちの内面をあれこれ推測してみるのはやめておきますね。
だって、実際、特にミオリネの言動には「????」なことが多かったし……。
ただ、まぁ、引きこもっていたミオリネと久しぶりに対面した時点で、
やっとスレッタは、お互いに対等な関係を始められた……のかな?
いや、でも、だったらホルダー制服じゃない方が
「花嫁でも花婿でもない、お互いに何の役目も負わない私たち」
って感じがするしなぁ、やっぱりあの謎フェンシングは謎のままだよ。
そもそもスレッタは、「ミオリネが大切」っていうよりは、
「大切な誰かがほしい」「『親友』という存在に対する憧れ」
みたいなものも強く感じちゃうんだよなぁ。
そしてミオリネも、あの第22話の扉越しの会話以来、
今度は依存関係が逆転したようにも見えますもんね。
結局、最後まで、私が期待していた「最高のバディ」にはなれないまま
物語の方が先に終わってしまった、って感じです。
恋愛・友愛
「2人の間にあるのは恋愛(性愛)なのか友愛なのか」問題について。最終話まで見終えた自分の感覚としては、
やっぱり2人は友だちですらなかったのでは、という印象。
「友だち」の定義自体、人によって少しずつ異なると思うけれど、
本編中ではお互い対等な関係だったこと、ほぼ皆無だったのでは?
あっ、「問題」と言っておきながらも別に結論づけたいわけではなく、
もちろん他人様に自分の解釈を押し付ける意図は全くないので、
以下はあくまでも自分用のメモです。
判断材料 by スレッタ
- エランさん(4号)への恋心をミオリネに知られたり応援されていることを、
後ろめたく思っていたりはしない様子だった。
(ただし、ミオリネに依存している第10話では、
エランくん(5号)のお誘いを断っている)
- 第8&9話で、シャディクからミオリネへの恋心(?)に対して、
警戒したり不快感を表したりせず、むしろ興味津々だった。
(恋敵とは考えていない)
- 友情の証として、「おそろいのキーホルダー」である
クールさん&ホッツさんを、ミオリネとペアで持つようにした。
- 「やりたいことリスト」には「デートする」もあったのに、
ミオリネをデートに誘う描写はなかった。
- 第19話ラストのクインハーバーの騒動で、
母と姉が首謀者だと確信したものの、
ミオリネの安否などについては一切言及しなかった。
故郷の星でメチャクチャやられた、という怒りがあるにしても
みんなけっこうドライだな、誰も心配してないんだな、と思ってしまいました。
スレッタも「ミオリネさんを助けに行きます!」くらいは言い出すかと思ったのに、
普通に授業受けてて、ちょっとびっくりしたんだよなぁ、放映時。
ニュースとかで、すぐに宇宙に帰ってきたと報道されたのかもしれないけれど、
エリィちゃんに根性焼きされて、すっかり魔法(依存)が解けちゃったのかな、
もしかして、思っていたよりも全然、ミオリネさんのこと好きじゃなかったの?
とも考えたりしていました。
そりゃあ、第17話であんな突き放され方したら、
怖くて会う勇気もなくしそうではあるけれど……。
判断材料 by ミオリネ
まず、シーズン1では全体的に、スレッタ個人に対しては関心が薄かったように思うのだけれど、
どうでしょうかね?
エアリアル絡み、つまり決闘の勝敗に影響が出そうな時には
踏み込んできてくれるけれど、
やっぱりただの「取引相手」で「弾除け」だったのかなぁ、って。
とりあえず、書き出してみるとこんな感じ(↓)。
- 第4話で、グエルのスレッタに対するツンデレ発言を冷静に観察していて、
たぶんすでにあの時、彼の本心に気付いていたと思うけれど、放置していた。
- スレッタがエランさん(4号)に向ける恋心を応援していた。
(最初は「ロミジュリったら許さないからね!」と警戒していたものの、
理解を示して背中を押した(第6・7・10話))
- 第17話で、八百長決闘にグエルを巻き込むにあたって、
「ごめん、スレッタのこと、本気で好きだったんでしょ?」と謝っている。
出てこない台詞だと思うのですが、どうでしょう。
というか、もし「恋敵(グエルくん)の想いを利用した」とすると、
ミオリネの格や品位を著しく下げてしまうので、
ヒロインの1人なんだし、さすがにそんなひどいことさせないよね、っていうか。
だから、全て片付いたらセッティングし直してくれるのかな、
せめて自分が巻き込んだだけってことくらいは言ってくれるかな、と思ってたよ。
あの時の告白を聞いて、
「スレッタの言う『大切な人』は自分のことを指してはいるけれど、
あれは依存や固執で、愛情でも友情でもない」
ってわかっていただろうし、だからこそ自分から遠ざけようと焦ったわけだし。
まぁ、最終的にはああなっちゃったんですけれども……。
うーん、整理するつもりで書き出してみたものの、
やっぱりこの子たち、2人セットにしとくとよくない気がしませんか??
相性よくない気がするよ、今さらだけども。
シャディクとの関係
ミオリネは、シャディクと一緒にいる時が、いちばん可愛く見えるなぁ。ミオリネがキツめの口調で何か言っても、
シャディクにはさらっと受け止めて返す余裕があるし。
あと、外見というか、キャラデザ的な対比もすごく好きです。
褐色肌&金髪ロングストレートの、高身長アラブ系プリンスと、
色白肌&銀髪ロングストレートの、小柄な北欧系プリンセス。
(アラブとか北欧っていうのは、私の勝手なイメージです)
グエルくん&スレッタちゃんの掛け合いは、
ラブコメ! 青春! って感じで可愛くて大好きですが、
シャディク&ミオリネは、それよりもう2、3段階お洒落で大人っぽくて、
こっちはこっちでまた、心臓をぎゅわーってされますね。
特に、シャディクが自分に課した使命なんかが明らかになってきた頃は、
切なくて苦しくて、ねぇ……。
2人きりのシーンは、すごく洗練された雰囲気で、どれも大好きです。
私はシャディミオも推しているので、
第8話でちょろりと語られた「事業コンペの企画」の詳細が知りたいし、
その回想シーンが出なかった代わりに、第22・24話でその上書きとして、
シャディク草案のグループ解体に踏み切ったのだな、というのもわかります。
でも、それにしても、「最終回感想・6:罪と罰」でも書いたけれど、
やっぱりシャディクが罪を全部被るなんておかしいよ。
クワゼロの件まで、どうしてシャディクが被ったままでスルーするんだよ。
あと、この方法では根本的な解決に繋がらなかったことが、
3年後の時点ですでに明白だとされているのが、地味に辛かったですね……。
「それでも、できることをするの」、するしかないんだよ、
っていうのは確かにそうなんだけれど……。
理想は「姉妹妻」ED
ミオリネ&スレッタの話に戻ります。彼女たち2人が絆を深めていくことを、素直に期待していた序盤では、
それぞれが別の相手と結婚したり子どもが生まれたとしても、
時々は2人だけで会ったり、遊びに出かけたりもするような、
そんな関係になってくれたらいいな、と思っていました。
お互い、家族ぐるみでお付き合いしたり、
夫婦喧嘩をした時は、全面的に味方になってあげたりとか。
いつかお互いしわくちゃのおばあちゃんになっても、ずっと仲良しのままでいて、
おいしいものや可愛いものの話で盛り上がっていたりとか。
たぶん、私がイメージしていたのは、ひとことで言うと
「乙嫁語り」に出てきた「姉妹妻」という慣習(?)なのですが、
似たようなご意見を前にネット上で見かけて、ちょっとうれしかったです。
私はグエスレもシャディミオも好きなので、
そんな未来を彼ら4人でほわわんとイメージしていたし、
いつかそんな平和的な結末にたどり着けるよう願ってもいました。
グエルくんの出奔とか、シャディクのテロ関与とか、
不穏な要素が次々に出てきてからも、
「スレッタはシャディクがミオリネに気があることを知ってるし、
ミオリネはグエルくんがスレッタに本気なの知ってるし、
お互い、親友のお相手を後押しするような関係になるのかな」
とわくわくしていたのですが、叶えられなくてしょんぼり……。
本編中の2人の関係性の描写については、今でも謎と不満があるけれど、
もう、これはただシンプルに、
「主人公が2人の少女だっただけで、女性に向けて作られた作品ではない」
「制作側の思い描く『魅力的な女性像』が、私の理想や好みとはかけ離れていた」
ってことなんだろうな。
ただただ、残念です。
追記
この「最終回感想・10」、思いがけずたくさんの方々が読んで下さっているようで、うれし恥ずかしでそわそわしています。
こっそりと、お礼&おまけの記事を書いたので、よろしければついでにどうぞ〜。