【最終回感想・11:データストームとパーメット】「機動戦士ガンダム 水星の魔女」

 2023/09/10 Sun

水星の魔女

水星の魔女 3、4件書いて終わる予定だった、この「最終回」シリーズ、
気付いたら2桁に突入していて、自分でもびっくりです。
あの最終回からもう2ヶ月も経っているのに、書けば書くほど
「そういえば、コレまだ各話感想の時には書いてなかったな」
「あれ? そういえばアレって何だったんだ?」
というのが次から次へと出てきて、やめられない止まらない状態です。

でも、そろそろようやく一区切りつけられそうな予感……!
ここまできたら、気がすむまでやりきっちゃうぞ! オ〜!

ヘッドギア

第24話にて、ベルメリアの台詞として初登場した「データストーム汚染」。
プロスペラが、ヘッドギアなしにはすでに歩けないくらい深刻な状態であることが
初めて明かされましたが、そもそも彼女はどうしてそうなったのか?

私は、この最終話は見ている最中からすさまじく混乱して
あちこち記憶が飛んでいたみたいで、
最近になってようやく、この言葉や描写について疑問を抱くようになったのですが、
ここらへんも、考えていくと何だかよくわかんないな……。

えーと、まず、私は彼女のあのヘッドギアについては、
本編の序盤から中盤あたりまでは、ただシンプルに「素性を隠すため」なのかな、
と考えていました。
それにしちゃちょっとゴツいけど。
(一時は「スレッタのヘアバンドは盗聴器で、その受信機」
 という説も出ていましたが、結局これもただの憶測だったのかなぁ)

そして、第9話の集団戦の配信を見ながら涙をこぼすシーンや、
第17話の八百長決闘でミオリネに指示を出す直前のシーンなどから、
「エアリアルの中にいるエリィの存在を察知するためのアイテム」
でもあるのかなぁ、とも思い始めていました。

だから、最終話のリアルタイム視聴時は、
「エリィのために、負荷のかかるヘッドギアを長年装着し続けて、
 ついにデータストーム汚染で足も動かせないほどになってしまった」
って思い込んでいたけれど、これ、逆だな??
「身体機能が低下するのを補うために」ヘッドギアが必要だったんですね??

そもそも、あのヘッドギアに「生体データと化した存在を認知する機能」なんて
最初からなかった……、のかな?
彼女のこめかみに浮かんだ赤痣を見て、
「エリィを感知すると光っちゃったりするから、それを隠すため?」
とか、自分の解釈を補強しちゃっていたけれど、無関係だった?
エアリアルのシェルユニットの輝きの色で、パーメットスコアは判別できるから、
ヘッドギアはエリィやエアリアルとは何の関連もなし?

いやー、水魔女、思わせぶりな描写が多い上に説明不足だから、
もともと妄想が暴走しがちな私には、トラップだらけで困っちゃうわよ〜。

データストーム汚染

プロスペラのヘッドギアが「対症療法」的なアイテムだったとすると、
じゃあ、彼女は何が原因で「データストーム汚染」にさらされているのか?
というのが問題になってくるわけですが、これってもしかして、
GUND義肢を長年装着しているから……、ですか?
えっ、そうなの……?

最終回まで見ても、結局、
パーメットとかデータストームとかがよく理解できていなくて、
あまりにもトンチンカンなこと書いていたらとても恥ずかしいのですが、
ここ最近、新たに浮上してきたのはこの疑問点です。

もしも、上記の私の解釈で合っているなら、
軍事転用されたGUNDフォーマットどころか
医療技術としてのGUND時点で危険すぎて、ヤバいじゃん!
てっきり、GUND自体は、当時(ヴァナディース事変以前)、
広く世間に開かれた技術なのかと思っていたけれど、
プロスペラ、というかエルノラが被験者第1号、くらいの
できててほやほやな技術だったのかな?
そして、経年変化とか、人類の平均寿命程度まで使用して問題ないかどうかを
検証する機会がないまま、研究所ごと技術が失われた、ってこと?
そしてそれを、今、ミオリネ率いる株ガンが蘇らせようとしていた、
っていう感じ、なのかな?

一度は確立された、安全な技術だから、ミオリネもやりたいと思ったのかな、
と勝手に思っていたけれど、実はまだまだ発展途上のものだったのなら、
学生が主体の株ガンにとっては、ちょっと荷が重いような気がしちゃうよ。

あと、ラストで両足がっつりガンド化したペトラちゃんは、大丈夫なんですか?
エルノラが義肢を装着したのも、同じ年頃だったと思うけれど
(カルド博士と若いエルノラのツーショットのイラストより)、
ペトラちゃんにもいつか、同じ症状が出たりするの?
えっ、やだやだ、怖いよー!

エルノラについては、プロローグにて
「この技術がなかったら、ママはもう生きてないのよ」
とも語っているので、右腕だけではなく、
どこか内臓なども処置を受けている可能性があるのでは、
とネット上では何度か指摘されていたけれど、どうなんでしょうね?
うーん、わからん……。

データストーム耐性

第21・22話のベルメリアさんによると、
「エリクトだけが、データストームと完全に同調できたの」
「エリクトとほぼ同じ体のあなた(スレッタ)には、強い耐性がある。
 けれど、あの子のようにデータストームと共存はできない」
とのことですが、ここらへんの、データストーム耐性については、
「生まれつきの体質、素養」ってことで落ち着いちゃったのかなぁ。

遺伝子由来(?)、ってことになると、
エリクトとスレッタにどうして差異が出るのかがわからないのだけれど、
そもそも「リプリチャイルド」自体、作中で説明がないままだったので、
もう、あんまり突っ込んじゃいけない気もしていますが。

あと、エルノラがルブリスのテストパイロットだったのも、
カルド博士の「あんたでダメなら、誰にもクリアはできないさ」
という台詞から、データストーム耐性が高いために選ばれた、と考えてOK?

うーん、この件なんだけれども、「ガンダムの呪い(&その克服)」が
この作品のテーマの1つでもあったと思うのに、
「データストーム耐性は、体質によるもので、後天的な努力などでは覆せない」
といった結論になってしまったのが、ちょっと淋しいんだよね。
シュバルゼッテ、というかジェターク社のAIが、
そこらへんの常識を大きく変えていきそうで期待してたのですが、
シュワシュワしちゃったし、会社自体まだあっぷあっぷみたいだし……。

「生まれた環境で、ある程度進む道が決まってしまう」とか、
「選択肢の数や範囲が決まってしまう」というのは、
まぁ、リアルではあるのだけれど、フィクションをエンタメとして楽しむなら、
主人公たちが、その決まりきった「常識」を打ち砕いていく姿を見たかったです。

もともとはアーシアンの孤児だったシャディクが
罪を背負って、いずれは極刑に処されるであろう姿を描き、
一方で、少なくともエピローグの時点では、
デリングやプロスペラなどが
それぞれの罪(ヴァナディース事変、クインハーバー、クワゼロ)に対して
罰せられた様子がなさそうなことなど、
「スペーシアンは優遇され、アーシアンは冷遇される」とも取れるラストは、
「生まれた環境で人生はあらかた決まる」という諦観を補強してしまうようで、
悔しいというか、残念というか、うーん、やっぱり、淋しいですね。
自分はともかく、若い世代には見せたくないなぁ、そんな物語は。

キャリバーン&スレッタ

キャリバーンというガンダムの存在が明らかになった第21話の放映以来、
番組終了後の今に至るまで、
「キャリバーン&スレッタの和解、対話」を期待するorしていた声をよく拝見します。
そして私もその1人で、今でも第22話のキャリバーン搭乗テストシーンは、
プロローグのエルノラのレイヤーコールシーンではなく
エリクトからルブリスへの対話シーンを再演するべきだったのでは、
と強く思っています。

「第21話:今、できることを」の感想まとめでも書いたけれど、
「エリクトだけが、データストームと完全に同調できたの」
というベルメリアさんの台詞に対して、スレッタが控えめに瞳をきらめかせたのは、
「自分がこれまでデータストームの影響を受けなかったのは、
 エリクトが守ってくれていたから」
と気付いたことに加えて、
「エリクトがデータストームの影響を受けないのは、
 ルブリスと出会った時に『おはなし』したから?」
と、「対話による相互理解の可能性」を感じたから、……だといいなぁ、
と思っていました。

同じことを考えていた方々は少なくなかったようで、
この願望をもとにした二次創作もちらほらと発表されていて、
どれも素敵だなぁ、やっぱりこうなってほしかったなぁ、
と楽しませて頂いております(ありがとうございます!)。

せっかくの女性主人公で、MSを家族と認識するような、特異な生い立ちで、
戦闘中でもそれ以外でもナチュラルにMSと対話するくらいなんだから、
学園で実習に使うような量産機ならともかく、
曰く付きのオンリーワンなMSに初搭乗する時くらい、
「おはなし」させてあげてほしかったなぁ。
その個性を前面に押し出さなかったのは、あまりにももったいないよ。
あと、無機物に話しかける姿は、単純に、可愛いじゃん。
そして、あそこまでひどい後遺症が残るなんて聞いてなかったもん!
そんなの絶対回避したいんだもん! もんもん!!
光り輝く青痣に包まれたスレッタ、見てみたかったなぁ。
ていうか、EDのあの映像はその暗示だと思い込んでいたんだけれどなぁ……。

「まずはお互い、よく話し合おう、
 分かり合えなくても、そのための努力は続けよう」
というのは、普遍的で目新しさのないラストだけれど、
作中に提示された課題の全てが中途半端で終わってしまうのなら、
そこをもうちょい強調してくれてもよかったのになぁ、と思う。

エピローグの、アーシアンと対話するミオリネの姿と
「それでも、できることをするの」という台詞には、
上記のような意味合いも込められているのかな、そうだといいな、
と前向きに解釈していますが、
はっきりいって、作中で、落ち着いて誰かと誰かが対話したシーンって、
ものすごーく少ないですよね。
どこかで邪魔が入ったり、片方がキレたり怯んだりして諦めたりとか、
そんなのがほとんどだった気がする。
ヒロイン2人でさえ、対話シーンが不足していたと思うし。

彼女たちがもっと、例えば御三家の男の子たちとも対話して、
それぞれの問題を共有して、
いつかは1つにまとまって大人たちに立ち向かう姿を見たかったなぁ。

「祝福」PVの間奏(1:35あたり)の、
御三家&ミオリネと思われる手が重ねられて、
さらにそこへスレッタが重なる描写から、
最終的には、この5人は一丸となって戦うんだろうな、
とすっかり信じきっていたので、
いまいちその実感を持てないまま物語が終わってしまったのは、
つくづく残念だったなぁ、と思っています。


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