【最終回感想・3:指輪】「機動戦士ガンダム 水星の魔女」

 2023/07/07 Fri

水星の魔女

水星の魔女

まえがき

先日、最終回や例の指輪についての
理性的かつ穏やかな考察・解釈を拝見して、
その晩は久しぶりに朝までぐっすり眠れました。
(目覚ましで起きるなんて、ここしばらくなかったので、ちょっと感動した)

少し前の私のように、どうにも咀嚼できなくて苦しんでいる方がいたら、
いつかそこへ辿り着くことができますように。
ほんとうは、ここからリンクを飛ばしたいくらいだけれど、
イベントの襲撃予告など、物騒な気配もあるので、グッと堪えて自粛します。

放映直後は「せめて『玉虫色のラスト』にしてくれよー!」と
怒りと悲しみで大暴れしちゃったけれど、
今は「そうか、ちゃんと『玉虫色のラスト』だったんだ」という気持ち。
心、晴れやか。体、健やか(by「筋肉体操」)。
何か、感想1とか2で文句ぶうぶうになっちゃっててごめんなさいね。
あれも素直な感想だし、全てを受け入れられる気にはなっていないので、
あのまま、残しておくけれど。

そんなわけで、今日のテーマは「指輪」です。
例によって、私個人の思い出話を語っちゃったりするし、
グエスレ&シャディミオではない人にとっては、おもしろくないと思う。
それから、他者様の考察にも大いに影響を受けているので、
ただの受け売りになっている部分も多いです。

あ! あと、それから、指輪については
「最終回感想・1:リアタイ直後の第一声」でも触れているけれど、
実は視聴時、全く気付いていなかったことを、こっそり白状しておきます。
まずは圧倒的なグエスレ(グエ→スレ)不足で「アレ?」ってなってて、
ツイッター見て「え、指輪しとった!? そうなんだ……」って、ちょっと落ち込んで、
「え、面会の時は外してたの!? ミオリネ……」ってまた混乱した、という感じです。

最終回初視聴時は、どうもけっこう早い段階から脳が混乱して
半分意識が飛んだような状態で見ていた可能性が高くて、
台詞とか、聞き逃していた点もあったみたいで……。
あとで他人様のつぶやきなどから
「えっ、そんなこと言ってたっけ」
と内心焦りながら書いたのがあの記事、という次第です。

なので、改めて見るとちょいちょいツッコミ入れたくなったりするんですが、
どうしよう、こっそり訂正しておくか、補足を入れた上であえて残すか……。

本編中の描写より

まず、大前提として、
「アド・ステラ(作品世界)における一般常識が、
 現実社会の、現代に生きる我々と同じかどうかはわからない」
ことを記しておきます。
それから、本編中の描写ではいろいろと過程をすっ飛ばしているので、
その隙間の出来事は視聴者に委ねられた、と考えています。
他者に強要しない限り、想像の自由は保証されているはずなので、
そのあたり、よろしくどうぞ。

さて、最終話ラストのエピローグ部分で、
スレッタ&ミオリネが左手薬指につけている指輪。
ごく一般的な感覚では、「2人は婚約・婚姻関係にある」で終了なのですが、
そう素直には受け止められない要素がいくつかあって、それをまとめてみました。

  • 2人の指輪の色が異なる(スレッタは銀、ミオリネは金)
    (一般的に、こういう場合の指輪はデザインが同一のはず)

  • 婚約・婚姻関係にあるにしては、ラストの2人の会話に距離を感じる
    (こまめに連絡を取る仲ではない?)

  • シャディクとの面会時、ミオリネは指輪を外している
    (「自分には他にパートナーがいる」と思われたくない?)

まずは1つめ、指輪が同一デザインではないことについて。
特注品という可能性もあるけれど、だったらお互いの肌や髪の色を考慮して
「スレッタは金、ミオリネは銀(プラチナ?)」の方が妥当だと思う。
アニメ制作時のキャラデザや色彩設定って、計算し尽くされているはずなので、
私のような素人でも気付く違和感をあえて残す、その意味を考えてしまいます。

そして2つめ、2人の会話の内容。
ミオリネの「こっちにも学校つくるの?」って台詞に違和感があって、
リアタイ時もちょっと引っかかっちゃったんだよね。
スレッタはまだリハビリの最中のようなので、
責任者というよりはアドバイザー的な立場なのかな、などと想像していますが、
規模はどうあれ、学校建設ってなかなか大事(おおごと)だと思われるのに、
「久しぶりに会った友人との近況報告」みたいな雰囲気じゃない?
何というか、妙に「他人事」っぽいというか……。

それから3つめ、ミオリネはシャディクとの面会時、指輪を外しています。
(気付いた人、すごいなぁ!)
これ、現時点では単なる作画ミスの可能性もあるので、
ここで考察材料として上げるべきかは迷うところなのですが、
この物語の集大成というべきエピローグで、そんなポカ、見過ごされるかなぁ?
面会後のホッツさん、いや、エリィの「素直じゃないね」という指摘のとおり、
未だシャディクに対する想いを抱えたままでいて、
彼に自分をあきらめてほしくないから、「誤解」されたくないから外している、
という可能性を考えてしまいます。

「おそろいのキーホルダー」の代わり

そして、ここからが本題。
あのお互いの「左手薬指の指輪」が婚約・婚姻関係を示すものでないのなら、
その意味するところは何なのか。

これは私の個人的な解釈ですが、
「『おそろいのキーホルダー』の代わり」ではないのかなぁ、と。

第10話にて、スレッタの願望および2人の絆を象徴するものとして登場し、
最終的にはエリィの「容れ物」となったホッツさん&クールさん。
キービジュでもほぼ中心部に描かれていたため、
いろいろな考察が飛び交っていましたが、こんな展開、予想外でしたよね。

それはともかく、あの騒動から3年後として描かれたエピローグでは、
もともとスレッタの持ち物だったはずのホッツさん(=エリィ)は、
クールさんと一緒にミオリネのスーツケースにぶら下がっていました。

私の想像ですが、たぶん、エリィかスレッタ、あるいはその両方がそう願って、
ミオリネが受け入れてくれたんじゃないかなぁ。

エリィはずっと、もしかしたらプロスペラ以上に
「自由に動ける身体」を欲していたかもしれない。
だって、まだ8歳くらいの女の子だったんだもんね、無理もないよね。
キーホルダーの姿になった今でも、
「お外に行きたい!」ていう欲求は当然持ち続けていて、
でも、プロスペラ、いや、エルノラはもう車椅子生活だし、
スレッタもあれから3年経ってなお松葉杖を手放せない状態です。
行動範囲がどうしても限られてしまう2人にずっと付き添っているよりも、
あちこちを飛び回っているミオリネについて行った方が、
少なくとも退屈はしなさそうだよね。
あるいは、エリィとしては「僕がついてったげる!」的な、
頼れる姉貴分としての提案、という意味もあったかもしれない。

というわけで、スレッタとミオリネの「おそろい」だったはずのキーホルダーを、
2人分ミオリネが持ち歩くことになりました。
(ここで、代わりにクールさんをスレッタに渡す、
 という案もあったかもしれないけれど、2人はそうしなかった)

でも、これ、スレッタとしてはちょっと淋しかったと思うのですよね。
「やりたいことリスト」の「9番目」(けっこう上位?)で、
「友だちとのおそろいのキーホルダー」って、
それまで同世代と過ごしたことすらなかった女の子としては、
それこそ見ているだけでニマニマできちゃうくらい、幸せなアイテムだったはず。

だから、それに代わるものとして、
新たにもう1組、「おそろい」を2人で持つことにしたんじゃないかな、って。

それで、ふと気になって、第10話のキーホルダー初登場シーンを確認したのです。
そしたら何と、バッチリでした!
「WISH:009」、
「Share matching accessories and keychains with friends」、
つまり「おそろいの『アクセサリー』やキーホルダー」って、
最初から書いてあった!

だから、婚約でも婚姻でもない、2人だけの親愛の証として、
指輪を選んで身につけるようになったとしても、
少なくともスレッタとしては自然なことで、幸せなんじゃないかなぁ。

「花嫁・花婿」のやり直し

上記のように、親愛の証としてつけるならば、なぜそれが「左手薬指」なのか?
その理由としては、2人だけの「『花嫁・花婿』のやり直し」をも
意味しているからかもしれません。
これは、ミオリネが(自身の容姿と相性がよさそうな銀ではなく)
「ホルダーの象徴」として金の指輪をつけている、
とした解釈を拝見し、個人的には深く納得したこととも連動しています。

学生時代、ホルダーであるスレッタに「花婿」の役割を負わせ、
ミオリネ自身は「花嫁」として守られる立場でした
(本人は反発していたものの、父デリングの本心としてはそう)。
しかし、あの一連の騒動でスレッタを傷つける言動をし、
危険なガンダムに乗せた挙げ句、
3年を経てもなお松葉杖が必要なほどのダメージを負わせてしまった。
その償いの意味で、今度は自身が「花婿」となって、
「花嫁」スレッタを守る、という決意を象徴するものとして、
ホルダーカラーの金の指輪を選んだミオリネ。

……! いい……!
「『花嫁・花婿』のやり直し」だけなら、
「花嫁」であるスレッタが指輪をつける必然性はないけれど、
「おそろいの『アクセサリー』」という2重の意味が込められているなら、
もう、スペシャルパーフェクトな解釈じゃない?
ミオリネの誓いと、スレッタのささやかな願い、
それを満たすものが、あの指輪なのですよ、きっと。

私、「2人が指輪してる」と他人様のつぶやきで知った時は
「そういうのやめてよぉぉ!(決定的な描写しないでよぉぉ!)」
って落ち込んでたんですが、
この結論に至った今では「うーん、エモい!」ってなってますからね。
今、もう、こんなに元気で、ピョンピョンしちゃってる(ピョーンコピョンコ!)。
「エモい」って言い方、実はあんまり好きじゃなくて、
もうちょい情緒溢れる表現がしたかったのに、
今では窓全開にして「エモーい!!」って叫びたいくらいですからね。
人生! あきらめたらイカン!!

そうそう、ミオリネが金の指輪をつけていることに関しては、
「金髪&金のアクセサリーを身につけているのシャディクのイメージ」
というご指摘もありました。
さらに、グエルくんも、エピローグでは
左手の薬指の根元が画面に映っていなかったそうですよ。
ふーん……、なるほど……?(ゲンドウポーズ)(夢が広がりんぐ〜)

あっ、グエルくんについても、これとちょっと絡めて、
書きたいことがあるんだった!
忘れなければ、そのうち書きます。
(でも、すでに多くの方が指摘している内容だからなぁ、どうしようか)

「おそろいのアクセサリー」の思い出

彼女たちの指輪の意味について考えていて、
個人的には「親愛の証」に落ち着いた時、
自分もあの年頃の時に、そういうことしてたな、と思い出しました。
ネックレスと指輪を、おそろいで買ってつけてたなぁ。
しかも、それぞれ別の友人と。

どちらも雑貨屋さんで買える、お手頃価格のものだったけれど、
当時の自分にとっては宝物でした。
壊れたり崩れたりするまで、特に指輪は毎日、つけてたなぁ。

スレッタとミオリネがつけているものは、
それこそ婚約・婚姻指輪にもなるような立派なものかもしれないし、
実は案外、チープなものかもしれないけれど、
どちらでも尊いなぁ、素敵だなぁ、と思います。

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これを書いている時点では、アニメ誌にて制作サイドから 「世界観や設定をキャラやストーリーに合わせて随時変えていく」(要約) というスタンスだったことが明かされています。

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