水魔女再考・13:エリクト&エアリアル

 2024/08/13 Tue

水星の魔女

水星の魔女

まえがき

本編最終回からも全校集会からも1年が過ぎてしまいましたが、
みなさまお元気ですか?
私は、創作力のある方々の素敵な作品に助けられて、
だいぶ救われつつあるし、
世間的な空気も、さすがに少しずつ変わってきたようにも思います。

なので、「うーん、これってどうなのかな〜」と
いつまでも不満や疑問をこねくり回しているのが、
ほんの少し恥ずかしくなってきちゃったなぁ。
すいません、もうあと少しで一区切りつけられそうなので……!

公式からの新情報はほとんどないし、
他作品のあれこれがコラボやイベントで盛り上がっているのを見ると
ちょっとうらやましくなっちゃうよ。
でも、特に最終回直後に出回っていた「水魔女は大人気&大成功」との評が
紛れもない真実ならば、今頃はコラボが雨後の筍状態だったはず。
逆にいうと、今のこの閑散としたありさまは、
自分の感覚が異常ではなかったことの証明でもあるのかな。
そんなことにも気付いたので、まぁ、しょうがないよね、な気持ち。

あ、でも、公式情報とは違うけれど、
水星にダイヤモンドが埋まっている可能性がある、ってニュース(↓)、
すっごいワクワクしちゃいました!
え〜、へぇ〜、そうなんだ〜!
しばらくはこれをネタにして、グエスレ妄想を楽しめそうです。
うふふぐふふ。

厚さ18キロのダイヤモンドの層、水星の地下に存在する可能性 新研究 - ライブドアニュース

厚さ18キロのダイヤモンドの層、水星の地下に存在する可能性 新研究 - ライブドアニュース

探査機が撮影した水星。表面を構成する岩石の化学的・物理的な違いを色分けしている/NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Carnegie Institution of Washington via CNN Newsource(CNN)最

エアリアル開発の謎

そんなこんなで、今回のテーマは「エリクト&エアリアル」です。
いつものように、考察ではなく憶測や願望を書き出していきますよ〜。

本編中の描写を見るに、「エリクト=エアリアル」という解釈でいいのかな、
とは思うのですが、主人公機かつラスボス(?)であるはずなのに、
多くの謎を残したままシュワシュワしちゃったので、
個人的には、不完全燃焼感の大きな要因の1つにもなっています。

プロローグに登場した、あのルブリスが元となっているのはわかるけれど、
エルノラ(プロスペラ)が1人でエアリアルに改修(?)したというのは、
やっぱりちょっと、不自然だよね。
辺境とされる水星には、物資も人材も不足していただろうし、
協力者がいたんだろうな、それがナディムの出向元でもあるオックスアースかな、
とぼんやり予想していました。

でも、ヴァナディース事変の後に、少なくとも世間的には、
オックス社は解体されていたようだし、
その実、隠れてウル&ソーンを開発していたということは、
唯一の成功例(?)でもあるエアリアルの存在を知らなかった、
とも言えるわけで、うーん……?

そもそもエルノラって、「ルブリスのテストパイロット」なんだよね?
MSとしての技術者・開発者とか、
医療技術としてのGUNDの技師・科学者ではない、……んだよね?
あれ? 兼任していたんでしょうか?
まぁ、ヴァナディース機関自体、資金難だったとのことで、
「少数精鋭で、それぞれいろいろ掛け持ちしながら頑張ってました!」
とか言われたら、そうか〜、って感じですが、
ここらへん、未だによくわからないのよねぇ。

「私の可愛い娘たち」

プロスペラは、ことあるごとに
スレッタやエアリアルを「私の可愛い娘たち」と称していましたが、
彼女の認識とその実態も、もしかしてズレがあったりするのかなぁ。

スレッタ・エリクト・エアリアルはともかく、
「カヴンの子」って、結局、何者だったんだろうね?
そして、彼女たちの存在について、エルノラは把握していたのかなぁ。
「エアリアルのスコアアップのためのパイロットして、
 エリクトのリプリチャイルドを生み出した」
というのは、まぁ、わかります。
ルブリス(後のエアリアル)がエリクトのみをパイロットとして認識したから、
同じ生体情報を持つ者が必要だった、ってこと……ですよね?
(うーん、こうして書き出していると、自信なくなってきちゃうなぁ)

「スレッタは、その『唯一(Suletta/ロマンシュ語)』の成功例」
「『カヴンの子』たちは、そこへ至るまでの『失敗作』?」
という解説というか考察を見たことがあって、
そうなんだろうかなぁ、という解釈に落ち着いてはいるけれど、
その路線でいくとしても、「エリクトもどき」の「なり損ない」を、
エルノラはどんな気持ちでビットに入れていた(?)んだろうね……。

(↑)ここらへん、他人様の解釈に頼りきった上での妄想なので、
できればふわ〜っと聞き流して下さい。
自分で書いていても、何だかよくわからないので(……)。
そしてついでに、「失敗作」とか「もどき」とか「なり損ない」とか、
ひどいこといっぱい言っちゃって、ごめんねごめんね……。

生体データ

今さらこんなことを言うのは、ちょっとお恥ずかしいのですが、
そもそも「生体データ」って何なんでしょうか。
そしてそれは、果たしてヒトと同等のものなのか?

さらにプロスペラは、衰弱していったエリクトのそれを
意図的にルブリスに移したとのことですが(第16話)、
それって、ろくな設備もなさそうな水星で、
スタッフ1人(プロスペラ)でもできちゃう簡単なお仕事、なのですか?

あと、エリクトが自由に生きられる世界を願うのなら、
エリクトのガワ(器、肉体)としてのルブリスを、
同じ MS のエアリアルへと改修させるのではなく、
人間サイズの義体を用意してあげればよかったんじゃ……?

いや、しかしそうなると「水星の魔女」という物語自体が誕生しないし、
私の好きなスレッタちゃんとグエルくんも世に出てこないわけで、
それはそれで悩ましいか……。

やー、でも、だって、GUND-ARM(MS)よりも
GUND(義肢・人工内臓)が先というか、元祖なんでしょ?
本編軸のその後の二次創作で、キーホルダー化したエリクトに義体を用意する、
っていうネタを時々拝見するのですが、
エルノラ自身がそうしてもよかったよね?
だって、生体データを人体から MS に移す技術があったんだから。

……あれ? もしかして私、何か根本的に勘違いしてる?
恥を晒しているだけだったらごめんなさい。
まぁ、暑さにやられたんだということで、ひとつ……。

「私の最高傑作さん」

スレッタによく似た少女が初めて本編に登場した時(第14話)は、
上述したような「生体データ」に対する疑問もあって、
その正体について、こんな感じ(↓)にいろいろ考えていました。
  • パターンその1:エリクトの「生体データ」
    (エリクトそのもの)

  • パターンその2:エアリアルAI
    (外見はエリクトを模倣/エリクトではないという自覚あり)

  • パターンその3:エリクトを演じているエアリアルAI
    (エリクトの死後、プロスペラの心を守るために
     エリクトの「生体データ」のふりをしている)

  • パターンその4:エリクトを演じているうちに、
    自身がそのものだと思い込んでしまったエアリアルAI
    (パターンその3の発展型・亜種)

「ゆりかごの星」のプロスペラの台詞で、
「私の最高傑作さん。あなたがスレッタの剣になるのよ」
っていうのがありましたよね?
プロスペラが「エアリアル=エリクト」という認識だったら、
こんな言い方、絶対しないよねぇ?
モニタ表示の明滅(?)でスレッタと「おはなし」していることを、
きっとプロスペラも把握していたと思うので、
「エアリアルとはコンタクトできる、エリクトはさらに奥にいる」
と確信(もしくは妄想)していたのかなぁ、と考えていたのだけれど、
違うのかなぁ。

まぁ、「ゆりかごの星」が書かれたのは、
水魔女の制作スケジュールとしてはかなり初期だっただろうから、
その後、設定も展開も二転三転七転八倒したんだろうな、
「エアリアルAI」は途中で消されてしまったのだろうな、
と今では思っていますが。

ちなみに、エリィちゃんの一人称が「僕」なのは、
メタ的に、この影響だったんじゃないかな、とも考え中。
「ゆりかごの星」における「エアリアル」(というか地の文)が
「僕」って自称しているから、
「エアリアル」と「エリクト」が完全イコールとするなら、
そこ、合わせとかないとおかしいもんね。

あるいは、スレッタとエリクト、どちらも声を当てるのが市ノ瀬さんだから、
2人の対話シーンにおいて、これまたメタ的にわかりやすくするために、
エリクトの方は「僕」にした、とかかもしれませんが。
でも、市ノ瀬さんは、例えばフェルン(「葬送のフリーレン」)みたいな、
テンション低めの淡々としたトーンのお芝居もできる方なんだから、
一人称はあえて同じ「私」にしつつも差異を出す、っていうの、
別に全然、可能だったと思うんだけどなぁ。
単に、製作陣の好みかな?
ボクっ娘(こ)幼女、可愛いもんね。

あ! そういえば、この「エリクトの一人称が何故『僕』なのか」問題について、
当時、いろいろ考察されていましたよね。
水星はサマヤ親子に、というかよそ者に対して冷たくて、
小さな女の子は何をされるかわからないから、
自衛のためにエリクトに男の子のふりをさせていたのでは、とか。

みんな、ほんのちょっとの材料で、彼女たちの過去にも思いを馳せていたけれど、
「作った人そこまで考えてないと思うよ」が正解だったのかなぁ、やっぱり。
あの親子(スレッタ含む)の最終的な姿を見ると、
扱い、雑だなぁ、って思っちゃう……。

「人格入れ替わりイベント」を見たかった

エアリアルの中に「何か」がいるのは当初から仄めかされていて、
どうもそれはエリクトっぽいな、とは思っていたけれど、
どうしてそうなったのかは謎で、
おそらく事故とか、偶発的な、不慮の出来事だったのでは、
と思い込んでいました。

それに、序盤のあたりでは、
「スレッタの正体=エリクトと人格が入れ替わったルブリスAI」
なんて説もありましたよね。
私、あれ、ちょっと好きだったんだけどなぁ。

「slash」のジャケットイラスト(↓)の、
エアリアルの頭部にうっすら「誰か」が写っているのも、
この説の暗示だと思っていたんだけどなぁ。
エリクトとスレッタでは8歳という年齢差があるものの、
まだ語られていない事実があるのかな、って……。

「slash」

(↑)思いっきり拡大しないと見えないなぁ、「誰か」の横顔。

「スレッタ=ルブリスAI」ではないのだとしても、
「スレッタボディにエリクトの生体データがIN」とか
「ミオリネボディにエリクトの生体データがIN」とか、
とにかく「人格入れ替わりイベント」は絶対やると思っていました。
後者なんて特に、復讐としては最高の方法だっただろうし、
どちらが決行されても、
「スレッタ/ミオリネだけが相手の異変に気付く」みたいな描写で、
お互いの絆の強さを見せたりとか、できたと思うんだけどなぁ。

何か、いろいろ考えていると、
製作陣がどのキャラも持て余してしまった結果、
S2がグダグダになってしまったんだろうな、って……。
プロスペラについても、ラスボスにしたいのか哀れな母親にしたいのか、
これも途中で何度も路線変更されたのかもなぁ、っていう印象です。
可哀想な被害者であると同時に復讐者、
と思わせておいて「復讐よりも娘の幸せを選んだ」、
それはそれとして周りを巻き込んで犠牲を出してもへっちゃら(クワゼロ)、
って書き出してみると、もう、訳がわからんな!

エリクトの特異性

「呪いのMSであるはずのガンダムに乗っていながら、
 何故スレッタだけは無事なのか?」
に対するアンサーは、
「エアリアルの中にエリクトがいて、フィルターの役目をしていたから」
でした。
でも、結局、
「何故エリクトはデータストームに完全に同調できたのか?」
については、謎のままで終わってしまいました。

プロローグを見た時には、この件については、
水魔女という物語の全体を引っ張る、大きな縦糸だと思っていたし、
当然、その種明かしというか、謎解きも行われると信じていたので、
ある意味、最大のがっかりポイントでした。

私は、プロローグを見た時の印象から、
「AIと人類の対話、そして相互理解」もテーマになるのかな、
と期待していたし、同じように思っていた方も少なくように感じていました。
そして、キャリバーンに乗るよう要請されたスレッタが
(というか、あんなの強要だよなぁ)、
俯いたまま控えめに瞳をキラリとさせるのを見て(第21話)、
エリクトに流し込まれた記憶から、
彼女がルブリスと対話していたのを思い出したのかな、と思ったのです。
「対話&相互理解」こそが、
負荷を受けずにキャリバーンを乗りこなす鍵であることを、
スレッタは気が付いたのかな、って。

でも、キャリバーンとは「おはなし」しなかったんだよね。
試してみることすらなかった。
あの時の瞳の輝きは、「自分はエリクトに守られていたんだ」と気付いた、
という意味以外、なかったのかなぁ。

ベルメリアさんによると、
「(スレッタは)エリクトとほぼ同じ身体→強い耐性がある」
「ただし、エリクトのようにデータストームと共存はできない」
らしいのですが(第22話)、そこに踏み込んで理由を解明することこそ、
科学者の使命とか、開発者の責務ではないのですか?
先天的な、肉体的な条件だけでないのなら、
普遍的な技術として活用できるように、追求してみたくならないのかなぁ。
作中時間でも尺としても、時間がなかった、ただそれだけ、ですかね……。

SF&リアリティライン

アニメなんて絵空事だし、ご都合主義でも全然OKなのですが、
トンデモ設定てんこ盛りな世界観だとしても、
一本ビシッと筋が通っていてほしいなぁ、と思っています。
「サイエンス・フィクション」でも
「サイエンス・ファンタジー」でも、
「すこしふしぎ」でもいいから、
「SF」としての体裁を守ってくれ、というか。

水魔女は、途中危なっかしいところもありつつ、
一応ちゃんと積み上げながら進めていけていたと思うのよ。
でも、がんばって育ててきたそれらの芽を、
最後の最後で、キラキラ&シュワシュワおよびエリィのキーホルダー化で、
めちゃくちゃにしてしまった感じ。
例えるならば、「フャンタズィィィ!!」って叫びながら
ブルドーザーで根こそぎ破壊してしまったようなダメっぷり。
もう、めちゃくちゃだよぉ!!

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