【最終回感想・2:物語には報いあれ】「機動戦士ガンダム 水星の魔女」

 2023/07/05 Wed

水星の魔女

水星の魔女 あれから未だに眠れぬ夜が続いていますが、
「違和感や虚無感を覚えたのは、自分だけじゃなかったんだ」
と他人様の感想や意見にとても励まされ、少しは元気になってきました。

100パーセント自分の理想どおりの最終回なんて、もちろん求めていなかったし、
例えばグエルくんからの再プロポーズ or 再告白があったとしても
スレッタがどう応えるかはぼかしたままでもいい、
と思っていましたが、何だかもう、それ以前に、
「最終回、やっぱり話の流れ(脚本)、おかしかったよね!?」。

これまで、各話感想は、一応、リアルタイム視聴直後から書き始めつつ、
家事その他の合間にちょくちょくメモ書きしたり、
2周目以降行ったりまとめサイトをのぞいたり、
知識ある方や観察眼のある方のつぶやきから、また思うことが増えたり、
とにかくダラダラと、時には次回の放映が始まる寸前までかけて、
1つの記事として書いていたりしました。

でも、この最終回分については、ある程度テーマを絞って、
まとめられたものから随時切り出して別個の記事として上げちゃおう、と思います。
言いたいことはちゃんと言っとこう。
吐き出しておかないと、呪いになってしまいそう。

というわけで、たぶんあと4つくらいはいろいろ書けちゃいそうです。
余力があったら、最後に2周目を見て、
いつものような形式の感想メモを書いて締めくくろうかな。

そして、今回は、話の都合上、
他作品に対する個人的な思い出話にも触れていますので、
どうかご了承下さいね。

「天空戦記シュラト」の思い出

水魔女最終回、リアルタイムで見終えた直後は「え……? ナニコレ……??」って、
脳味噌が一生懸命に何かを処理している気配は感じるんだけど
自分は息をするでだけで精一杯、みたいな状態でした。
アニメを見ていてこんなふうにマイナス方向に衝撃受けるなんて、久しぶり。
……あれ? 久しぶり?
前はいつだ? 最初はいつだ?
……と、記憶の糸を辿って、思い出したことがあります。
「ああ、これって『シュラト』の時と同じかも」って。

「天空戦記シュラト」(以下「シュラト」)というアニメをご存知でしょうか。
「聖闘士星矢」に代表される、いわゆる「鎧モノ」(プロテクトヒーロー)で、
「3匹目のドジョウ」とも言われた作品です(ちなみに2匹目はトルーパー)。
私のオタクライフはこれが始まりでした。

大まかなストーリーとしては、
「ある日突然、人間界から天空界へと転生した、高校生のシュラトとその親友のガイ。
 そこで、ガイはなぜか人が変わったようにシュラトの命を狙う。
 さらに、シュラトは天空界を揺るがす大いなる陰謀に巻き込まれ、
 謀反の罪を着せられ追われながらも、天空界の危機を救うために戦うのだった」
……って感じかなぁ。

最終的に、シュラトとガイは敵同士のまま戦って、
ガイは本来の、親友としての優しい心を取り戻すんだけど、
その肉体は滅んで、魂がシュラトと同一化して、無意識化に入っちゃうのですよね。
天空界は守れたけれど、親友の存在は取り戻せなかった。
救えたとは言えるかもしれないけれど、
昔のように話し合ったり一緒に修行することは叶わなくなった。
(一応、無意識状態では対話することができているのですが)
そんな結末を迎えます。

ところで、アニメや漫画などに対する私のハマり方は、
どちらかというとキャラ萌えするのではなくて、
世界観モエ、設定モエ、雰囲気モエ、あとついでに音楽(劇伴)モエ、
というのがほとんどで、「シュラト」もそうでした。
お気に入りのキャラは一応いるし、この時はガイがそうだったけれど、
全体を見守っているというか、
「箱推し」よりもさらにキャラ成分をだいぶ薄めた感じというか……。

さて、そんな私が、この「シュラト」の結末にはひどく打ちのめされました。
ガイを元に戻すために、あんなに苦労して、死闘を繰り広げて、
その結果がこれですか! と。
それまではわかりやすいハッピーエンドしか知らなかったのと、
いつか2人は親友同士に戻れると信じていたので、
その期待が裏切られたようで、ショックでした。

当時の私は今よりもずっと子どもで、でも、
現実世界では「『努力が必ず実を結ぶ・報われる』わけではない」ことにも
すでに気付いていました。
だからこそ、物語の世界では、
それらがいつかは報われるはずだ、報われてほしいと信じて願って、
でも、そうならなかったことに、深く傷付いてしまったんだと思います。

それでも、私にとってはやっぱり大切な作品で、
後にファンサイトを立ち上げて今なお細々と続ける程度には
愛していたりもするけれど。

「報われない努力」に対する怒りと悲しみ

さて、そんなこんなで水魔女の話に戻ります。
最初は、お洒落でシャープで洗練された雰囲気や意味深なカットなど、
いつものように世界観モエ・雰囲気モエで始まったのですが、
この作品では、私にしてはめずらしく「キャラ萌え」をしました。
そう、グエルくんです。
基本的にキャラ萌えせず、男性キャラよりも女性キャラに目が行きがちなはずの私が、
気付けばすっかりグエルくんに夢中になってしまっていました。

正直なところ、今まであんまりキャラ萌えした経験がなくて、
もう、何ていうかほんと、すっごく楽しかったです!
そして、すんごい苦しかったー……。
どうしても彼の作中の言動に注目し続けちゃうから、
各話ごとの描写にいちいち振り回されるし、楽しいんだけど疲れる〜!
いや、幸せなんだけど〜!
そして、第2シーズンでは最初の2話は本編に登場せず、
今どこにいるの!? って、ハラハラしながら過ごしていました。
そんな、ずーっとお預けを食らった状態であの第15話だから、
もう、プギャアアア!! って感じでしたよね。

第1シーズンの頃はまだそれほどでもなかったけれど、
第2シーズンでははっきりと、日5を中心に1週間を過ごしていて、
アニメにここまでハマること自体も久しぶりで、
「こんなに夢中になるのって、『シュラト』以来かも」とも思っていました。

ただ、鋭い方からは第7話の起業編あたりから、
そうではなくても、第18話あたりからかな、
ストーリー展開や脚本に疑問や不安を感じる声が上がっていたように思います。

私はそういうのに鈍くて、
あと、あれだけプロポーズシーンをグッズやイベントなどで使い回していたんだから、
最終的には彼は絶対、望んだものを手に入れられるはずだ、
ちゃんとスレッタに「進める」はずだ、と信じ切っていました。
だから、終盤、同じくグエスレ推しの方々から
「これ、ほんとにグエスレに着地する?」などと不安が広がっている時も、
「まぁまぁ、落ち着こうや、大丈夫だから」と余裕ぶっこいていました。
フェンシングの時にはちょっとイラッとしましたが(脚本に)、
それでも強気でいられました。

が。
最終回。

楽観的すぎる私は、再プロポーズもしくはそれに匹敵するグエスレシーンは、
もう、絶対に用意されていると信じ込んでいました。
そのために、彼にあれだけの困難を乗り越えさせてきたんだろうから、って。
そのために、スレッタとの対比&相似を繰り返し描写してきたんだろうから、って。
でも、なかったですね……?
今はまだ、会社を立て直すのが優先だとしても、
3年経ってもまだ軌道に乗ってない感じで、
えっ、ミオリネからの援助とか、どうなったんだそういえば?
結局、グエルくん、何も手に入れられないまま本編終了……?
せめて、スレッタと共闘できていれば、
というか絶対あると思っていた共闘すらなかったし、
「進めていない!」は回収されないまま終了……?

前にも書いたけれど、とにかく呆然としてしまいました。
ずっとずーっと、これだけ苦労してきた彼には
最後にちゃんとご褒美が用意されているはずだと信じていたのに、
強いていえば「ラストまで生存した」というくらいで、
全然報われたように思えなかった。
せめて、スレッタと共闘したり、守れたと彼自身が誇れるような、
そんな経験ができていたらまだしも、ないままで終わってしまった。
彼の真剣なプロポーズシーンが、ただキャッチーでインパクトのある素材として、
客寄せパンダとして扱われていただけなことにようやく気付いて、
悲しくて腹立たしくて、「こんなことってあるんだ……」ってショックでした。
そして、未だにそれを引きずったままでいます。

「シュラト」以来のどハマりをしていたアニメで、
ラストではその時と同じように、
「報われない努力」に対する怒りと悲しみでこんなにぐちゃぐちゃにさせられて、
さらに、大袈裟だと笑われるかもしれないけれど、
キャラの尊厳を無視するような商売をされて、ほんとうに、信じられないよ。

本編中で絶対くっつけろとまでは言っていないよ、
でも、せめて可能性を感じさせる余裕は残しておいてほしかった。
その方が、今後のグッズの売れ行きにもマイナスの影響は少なさそうなのに、
どうしてああいう締めくくり方をしたんだろう。
お商売がへたくそすぎて、逆にこっちが不安になるわ。
デリングさんも言ってたよねぇ、「信用を軽視するな」って。
視聴者の、ファンからの信用を一気に失うような真似をして、
これは何なの? 自虐ギャグ?
言っておくけど「マジ笑えないっスから!!」(byフェルシー)。

幸せのかたちなんて人それぞれで、
「報われなくても、努力は尊い」という考え方もわかるけど、
「子どもたちが、明るい未来や夢に向かって進んでいく物語」
を期待して&信じて見守っていた身としては、
結局、グエルくんのあの激動の1年間(劇中時間・推定)って
何だったんだろうな、と考えてしまうのでした。
フィクションの中でくらい、苦労が報われてほしい、
特にそれが子どもなら、と願ってしまうのは身勝手ですかね……。

「シュラト」の時のショックもけっこう大変だったけれど、
グエルくんというキャラクター(&グエスレ)に注目していた今作では、
この憤りはさらに何倍も膨らんでしまっています。
この先、何か別の作品でキャラに入れ込むことが怖いくらいに。

……と、まぁ、こんな感じで、気が済むまで最終回について語っていく予定です。
はー、やれやれ。

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