【最終回感想・7:エラン・ケレス(4号・5号・オリジナル)】「機動戦士ガンダム 水星の魔女」

 2023/08/04 Fri

水星の魔女

水星の魔女

まえがき(某誌電子版の削除の件)

遅ればせながら、先週の某誌の件について。
ちょっと視点がずれている自覚もありますが。

出版業界の端くれとしては、
ライターがインタビューの内容に手を入れること自体は別に普通だと思う。
もちろん、主旨に関わることや事実とかけ離れたものにするのは
やっちゃいけないけれど、
そのへんのボーダーは個人や編集部の方針なんかで一律ではない可能性も。
ただ、紙媒体だと特に、限られた紙面で文章を整えたり、
段組レイアウトだと、折り返し(文の切れ目)にこだわって
単語を入れたり抜いたりして調整するのは、
以前の職場でも特に珍しくはない光景でした。

発表されたお詫び文の内容(今回の経緯)を全面的に信じるなら、
個人的には、やらかした方にちょっと同情してしまいます。
(私も、凡ミスを未だにゼロにできないうっかり者なので……)

ただ、「皆様一人一人の捉え方、解釈にお任せし」っていうのが
今回大炎上している件に限らず、作品全体にかかってしまうなら、
作品中のあれこれの謎や疑問や課題についての説明を
全てぶん投げられたように思われて、ちょっとモヤッとしてしまうなぁ。
今後一切、作品や最終回へのツッコミに対する返しがそれで済まされるのかも、
と考えると、あんな、あまりにも描写が全体的にゆるふわすぎる作品で、
それはちょっと無責任な感じもするような……、うーん……。

まぁ、でも、この「最終回感想」は、気が済むまではやりますけれども。
考えるのはきらいじゃないし、今はとにかく吐き出したい気持ちが強い。

というわけで、今回はエラン・ケレスについて語ります。
ちなみに私は、4号・5号・オリジナルを
エランさん・エランくん・エラン様、って感じに呼び分けています。

4号

私はグエスレを推していますが、エラスレも好きだし、
スレッタの初恋はもちろんエランさんだったと思っています。
そして、スレッタには、グエルくんのことを意識し始めたり、
いつか結ばれた後でも(ていうか私の脳内では確定事項なのですが)、
エランさんのことを忘れてほしくない。

そして、それはグエルくんにも。
スレッタがエランさんに惹かれていたことに、ちゃんと気付いていただろうし、
時間を経て自身が内面的に成長して、スレッタとの関係性が大きく変わった以降も、
時折、学生時代の話をした時なんかに、
エランさんへの嫉妬心もほんの少し思い出したり、してほしい。

……っていうのを、もう100回くらい語ってしまっている気がしますが、
しつこいですか? いいですか?
「スレッタにとって、エランさんは『恋を教えてくれた人』で、
 グエルくんは『愛を教えてくれた人』」
とも思っているのですが、これも100回くらい言ってる気がする。
(「大切なんだ」は恋というより愛、BIG LOVE)

あと、エランさんは、
スレッタと決闘したことによって退場(処分)させられたわけですが、
グエルくんも、
エランさんと決闘したことによって一時退場(学園出奔)したわけですよね。
(スレッタとの再戦&ホルダー剥奪だけなら、寮を追い出されてはいない)

そしてまた、エランさんはスレッタの初恋の人であるけれど、
スレッタはグエルくんの初恋の人である。
(作中で明言はされていませんが、絶対そうでしょアレは)

この、スレッタを巡る男2人の関係性も!! 好きで!!!!
……っていう話はしたんだっけ? まだでしたか?
あっ、ところでグエルくんは、4号・5号・オリジナルの全てに
それなりに深く関わった唯一の人、になったってこと?
いやー、おもしろいなぁ。

(そういや、「シュラト」でも、レンゲちゃんを特に応援しているのですが、
 彼女を中心とした男3人(インドラ様・ヒュウガ・マリーチ)との関係性が
 とても好きだったんだよね、私)

と、長い前置きはともかく、エランさんですよ。
本編の途中で設定が変更されて「決闘はMS戦に限らない」となったらしく、
結果的に強化人士の存在自体が無意味になってしまったという
特大のバグについては、以下ではちょっと脇に置いておきますね。

何から書こうかなぁ、とりあえず最終回のアレからかな?
久しぶりのエランさん登場で、いつものように優しくて、
うれしくてびっくりしてうわあああ! ってなってました。
ただ、でも、あれはエランさん本人ではなくて、
プロスペラがヴァナディースのみんなを見た時のように、
「スレッタの願望の具現化」みたいなもの、……なのかなぁ。
(あのエランさんって、他のみんなには視認できてないんだよね? あれ?)

よく言われていることだけれど、エランさんがそのまま生存していたら、
あるいは、もう少しスレッタとふれ合う機会があったら、
そのままエラスレが完成していたと思うし、私も納得していたと思う。
(そして、その上でグエルくんのことも応援していたと思う)

「僕の方こそ待ち合わせ……、行けなくてごめん」
「いいえ、……いいえ!」
の時のスレッタの笑顔と涙、
ああ、スレッタはほんとうに、エランさんのこと好きだったんだなぁ、
って思ったもん。

スレッタの可愛いところ、初めての恋に本人もわたわたしているところ、
それゆえに猪突猛進になるところetc.
彼女の素敵なところをたくさん引き出してくれて、ありがとう、エランさん。

エランさんがスレッタに興味を持ったのは、
自分と同じく、身体の負担を強いられながらガンダムに乗せられているのでは、
という同族意識が始まりだったとしても、
学園に来たばかりで不安な上に、魔女だの何だの言われたりして
心細かったスレッタに寄り添ってくれたのは、紛れもなく、彼だよね。
彼女のカトラリーの持ち方(乳幼児みたいな順手握り)から、
「まともな環境で育っていない、親からの愛情に恵まれていない」
と察した、という解釈を見かけた時は、おおー! って思ったし、
だからこそ期待して、そうじゃないとわかって逆ギレした、
という感情の流れとか、すごく好きだったんだよなぁ。

エランさんとスレッタも、お互いの生の感情を引き出せる存在で、
もっと、もう少しだけでも、一緒にいるところを見ていたかったなぁ……。

それなのに、どうして彼との出会いと別れとを、もっとちゃんと、
スレッタの成長に絡めてくれなかったんだろうなぁ、脚本は。
スレッタがミオリネ&エリクトから突き放された時、
追い討ちでエランさんの死を知らされてとどめを刺されるのかな、とか、
逆に、立ち直りと成長のきっかけとして、真実を知ることになるのかな、とか、
いろいろ予想して見守っていたのですよ。
それなのに、何だか中途半端なタイミングで、
エランくん(5号)経由で教えられて(ベルメリアさんからじゃなくて?)、
ダメじゃないけれど、あれー? って思っちゃったんだよなぁ。

もっと早い段階で、スレッタ&ミオリネ、もしくはそのどちらかだけでも
強化人士の存在に気付いていれば、
ガンダムの呪い(人体への負担)とか、それを祝福に変える(医療技術)とか、
物語の、株ガンのテーマだったはずのものに
主人公2人が積極的に絡んで、見応えのあるものになったと思うのになぁ。

あと、視聴者目線・エラン(広義)推しとしては、
やっぱりエランさん(4号)の生存が最後までぼかされ続けたのは不満だよなぁ、と。
そりゃあ、エランくん(5号)の台詞からは死んだらしきことが伝わりますが、
直接的な表現が徹底的に避けられていたために、
ラストのあの時でさえ、
もしかしたら生身のエランさんが駆けつけてきてくれるかも、
なんて期待しちゃってたからなぁ、私は。

それから、これは他者様のつぶやきから知ったのですが、
エラン(広義)推しの方々は、エランさんグッズが出る時も、
それが4号か5号かオリジナルか全員か、
気を揉んだりもどかしい思いをしていると聞いて、
確かにそうだな、大変だな、と思ったりもしました。
グエルくんも、髪型やお召し物のバリエーションが多すぎて、
それと近い現象が起きているので、わかります。

あと、全校集会も、花江さんが出演できないからって(?)、
エラン(広義)のグッズを出さないなんて、もったいなさすぎるよね。
出せばいいじゃん? ねぇ。
みんなの私服(?)が見られたんだから、
エランさんとかエランくんとか、エラン様のいつもと違うお洋服姿、
普段、特にそのキャラを推していなかったとしても、興味湧かないですか?
彼らを他キャラとのカップリングで推しているファンとかなら、
お相手とのコーデのおそろい具合もしくはズレだけで
十分盛り上がって楽しめただろうに、惜しいよねぇ。

5号

初登場時の「押せば落ちるな、あ・れ・は♪」(第10話)を思うと、
ここまで印象が変わったのはすごいなぁ、と今さらながら感慨深いです。

彼については、ネット上で早い段階から予想&期待されていたとおり、
「地球で、ノレアがスケッチした場所を探す」という姿が描かれていました。
うん、そうだと思ったよ、まさに見たかったラストだよ。

何かさぁ、ずっと昔に、確か柴田亜美(敬称略)が言ってたと思うんだけれど、
「作者は読者の予想を、半分当てて半分裏切らなきゃいけないのよね」
(ごめんなさい、うろ覚え)って真実だよなぁ、と……。
水魔女は、予想外の展開が多くてわくわく&びっくりさせられた面もありつつ、
特に第2シーズンでは、予想も期待も外されて斜め上の展開で突っ走って、
その時は夢中だったものの、
思っていた以上にメンタルも体力も削られていたんだなぁ、
って気付かされたりもして。

あっ、そうそう、この時のエランくん、
後ろ髪がちょっと伸びて括ってましたよね。
私はこういう、ちょっとルーズなまとめ髪が好きみたいで、
「あっ、好き!」と思っちゃいました。
そういえば、グエルくんの髪型コレクションの中でも
ダントツでボブ・スタイルが好きだったわ。

あと、生存したメインキャラクターの中では、
「大人世代の業から抜けて、自分の意志で生きている」
と感じさせてくれた唯一の存在だなぁ、とも思う。
だから、こう、すごく爽快感があった。
彼のあのシーンに「祝福」がかかっていたら、素直に感動したかもしれない。

オリジナル

エラン様は、ペイル社の闇を告発してくれたりするのかな、
それともいつか、スレッタやみんなの前に敵として立ちはだかるのかな、
と思っていた時期がありました。
結局、本筋にはあんまり絡まないキャラで終わっちゃって、
これもちょっと、意外というか、肩透かしを食らった気分……。

えーと、エピローグのあの状況は、
「ブリオン社にヘッドハンティングされて、セセリアを秘書(?)につけて、
 ジェターク社を援助しながらあれこれやっている」
という解釈でOK?
正直なところ、もともと彼らは最終的な立ち位置を決められていなくて、
性格の違いから組ませるとおもしろそうなグエルくんのところへ
雑に寄せ集められた、って気もしているのだけれども……。
(あ、この「組ませる」って、カップリング的な意味ではないですよ)

……はっ、いかんいかん、こんな穿った見方はよくない!
うーん、なるべく前向きに、楽観的にとらえるなら、
まず、エラン様はパイロット技能以外はオールマイティーなんだよね?
そしてセセリアも、ランブルリング中に起きたテロにも冷静に対応していたし、
アーシアンに対する差別意識も持っていないみたいだし、
トロフィー扱いされていたミオリネを思いやるような発言もあったし、
スレッタの変化に気付くなど、観察眼の確かさもあるし、
かなり頼もしい存在なのでは?
彼女、見た目や表面的な態度&口調なんかで
視聴者からも好き嫌いがけっこう分かれているんじゃないかと思われますが、
実はとても優秀で、根は優しいんじゃないかな、って。

そして一方で、グエルくんって、たとえば「安定した企業の3代目」とかなら、
本人は真面目だし頭も悪くはないはずだし、カリスマ性ならバッチリだし、
何の憂いなくCEOとしてみんなを引っ張っていけたと思うのですよね。
でも、ジェターク社はどうやらヴィムの代から実は落ち目だったようだし
(本編でも、だからこそデリング暗殺を何度も企てたのかな、って)、
こういう、新しく立て直す、っていうのはあんまり向いていない気もするのです。
無理とまではいかないまでも、ものすごく苦労しそうなイメージ。
彼の本質がとんでもなく善性で、汚いことを思い付かない、できない、というか。
逆境には強いタイプだと思うけれど、会社経営はやっぱり別問題だし。
(ていうか、御曹司なのに何で経営戦略科じゃないんだ、ってやつだよね)
(でも、そこも突っ込んだら
 凄腕パイロットとしてのグエルくんは見られなかったわけで、
 視聴者としては複雑よ〜……)

だから、彼のそういうの部分を補うという意味では、
あの性格&頭脳のエラン様&セセリアは、まさに適任だろうな、と思う。

あと、前回の「最終回感想・6:罪と罰」と絡めて考えるなら、
グエルくんがヴィム殺しを世間に公表する時に、
それがマイナスイメージにならないように、
むしろ新生ジェターク社&新CEOに期待が募るように
バックで最大限協力してくれていたり、するといいなぁ、と妄想中。

世間に公表と言っても、その規模は宇宙全体なのか、
もしくは社内に限定するのかでだいぶ違うし、
そもそも、ベネリットグループが解体されちゃったわけで
ジェターク社も一旦停止した状態になる、のかな?
そのあたりの流れがよくわからないので雰囲気で進めちゃいますが、
旧・ジェターク社の社員一同の前で、
その事実を打ち明けるグエルくんの姿とか、
ちょっと見てみたいなぁ、なんて。

人の死をショーのネタにするわけではないけれど、
何を伝えるにしても、やっぱり、見せ方とかで印象は大きく変わるし、
エラン様&セセリアがそこらへんにいいアドバイスをしてくれたら、
周りには、動揺を与える以上に、
新生ジェターク社に対して希望も持たせてくれるかな、って。

ヴィムの死について社内で公表したあと、
社員全員に、退職・転職・継続の中から自由に選択させたのだとしたら、
今、それでもなお、ジェターク社に自分の意志で残っている人員は、
きっとグエル新CEOの心強い味方になってくれるはず。
エラン様は「従業員の再就職だって面倒見てやったんだ」とも言っているので、
そこらへんに一枚噛んでいる可能性を見出してみたのですが、どうでしょうか。

ただ、まぁ、「グエルくん」VS「エラン様&セセリア」だと、
どうしても後者の方が強いっていうか、
グエルくんが押され気味になっちゃいそうだから、
私はやっぱり、ラウダくんに共同CEOに就いてもらいたかったなぁ。

……というわけで、(↓)「最終回感想・8:グエル&ラウダ、ペトラ」に続きます。

NEXT

【最終回感想・8:グエル&ラウダ、ペトラ】「機動戦士ガンダム 水星の魔女」

【最終回感想・8:グエル&ラウダ、ペトラ】「機動戦士ガンダム 水星の魔女」

今週も、水魔女に関する話題が尽きない1週間でしたね。 全校集会でもろもろ穏やかに収束したかと思ったら、 アンケートの不備とか例の本とか、次から次へとすごいなぁ。

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