鳥さんと私

雨降りの夕方の帰宅途中、駅前の広場から階段を上がっていたら、
とある段の奥側に、何か抹茶色の物体が落ちていることに気付きました。
何だろう、と思って腰をかがめて顔を近づけたら、
それがどうやら小鳥らしいとわかって、びっくり！
あんまり鳥って詳しくないけど、この羽の色とか特徴的なお目々とか、
これはもしかして……、メジロ……？

えっ、えっ、私の靴の先っぽが当たりそうなくらい近付いてるのに、
何でこの子、逃げないの！？
もしかして、どっか怪我してる？　翼が折れたとか？
こういう時ってどうすればいいの？
あっ、震えてる？　やっぱり寒いの？　雨降りだし身体冷えちゃうよね？
と、と、とりあえず、このままだと階段通る人に
蹴られるか踏んづけられるかしそうだから、場所を移そう！
あっ、でも、素手で触ると自分もこの子もいろいろまずい？
バイ菌とか、人間の匂いとか、ついちゃったらダメだよね？？

……とぐるぐる考えて、傘を抱えつつ鞄の中をひっくりほっくりして
とりあえずティッシュを出して広げてそーっとつかもうとしたら、
バタバタバタッと羽ばたいて、一段上に一瞬乗っかって、
すぐにずり落ちて元の場所にお尻から着地しました。
びっくりしたけど、とりあえず保温効果は多少あるかな、と思って、
ティッシュをふわっとかけてみたら、おとなしくくるまってくれたので、
そのまましばし観察。

……やっぱりどこか弱ってるのか？
野生動物は下手に触っちゃダメって聞くけれど、
人が通らなさそうな場所に移しておいた方がいいよね、
と再び覚悟を決めて、ティッシュをもう1枚出して広げて、
二重のティッシュの上からもう一度つかもうとしたら、
バサバサバサッと羽ばたいて、雨の中を飛んでいきました。

…………。
飛べるんじゃーん！
なぁんだぁぁ、よかったー！
えっ、じゃあ、何で動かずにいたんだろ、
と思ってさっきまでいた場所に目をやったら、
ちょこっとウンチが残っていて、んーんんんー？
……はっ、もしかして私、あの子からすれば、
「トイレタイムを邪魔するニンゲン」でしかなかったの……？
あっ、もしかして、恐怖でおもらししちゃったとか、そういうこと？？
うーん、鳥さんの生態に疎すぎて、結局わからなーい！

……んですが、まぁ、どこかで無事に生きていてくれることを祈ります。
もう、変なところでうずくまったりしてちゃダメよ〜！