「この世界の片隅に」

 2017/01/05 Thu

エンタメ

映画 「この世界の片隅に」

ずっと気になっていた「この世界の片隅に」を観に行ってきましたよ。
おもしろかった! だーだー泣いちゃった。
でも、見ていてよくわからないところがあって
そこらへんをググったりしているうちに
原作との違い(今回のアニメ化の際にカットされたところ)を知って、
「えっ、そんな大事なところをカットしちゃったのォォ!?」
とわたわたしています。
というわけで、以下はネタバレも含みつつの雑感メモです。
これから見に行く予定の方はご注意くださいね。

えーと、映画自体はとてもよかったです。
主人公・すずさんの日常が淡々とつづられていくお話で、
過剰に盛り上げたり悲劇性を煽ったりはしないので、
かえってそれが胸に迫ってくる感じ。
のんさんの声や演技がすごくいいなぁ、好きだなぁ。
ところどころに笑えるシーンやエピソードもあるので、
場内ではしばしば笑いも起きていました。

観ていて「ん?」と思ったのは2点あって、
1つは、嫁入りの時に傘を云々するところでした。
おばあちゃんからその話をされた時は、
私もすずさんと同じく「???」でしたが、
実際にその問答を周作さんと交わすシーンでは
「あー!」と気付きました。
帰宅後にネットで調べて納得。ふむふむ。
初夜のこういう風習、どっかで聞いたことあるような。

もう1つは、すずさんのおめでたが勘違いだった件について。
朝は山盛りによそってもらえたご飯が
病院から帰った後はほんの一口だったので
「あれ、違ったのかな」とは思いましたが、
さらりとした描写だったので、その後しばらくは
「違ったんだよね? あれ?」と気にしながらすずさんを見守っていました。
そう、全体的に、淡々と、さらりとした描写なんだよね。
ぽや〜っと見ても楽しめるけれど
私、いろいろ見落としているのかもしれないなぁ。

そして、私が憤っているのは、リンさんの扱いについて。
原作は未読なのですが、あちこちで情報を集めた限りでは、
リンさんと周作さんのエピソードをばっさり切ってしまうと
すずさんの葛藤やそれを超えた2人、いや3人の絆の意味合いが、
もう、全然違ってきちゃわないですか? これ。
劇場公開のアニメとして、時間的な制約もあっただろうし
全年齢向けではなくなってしまうという懸念があったのかもしれないけれど、
この時代を描くという点でも、むしろ盛り込むべきだったのではないかなぁ。

だって、そのことを知らずに鑑賞していた時は、
周作さんって、幼い頃に一度であっただけのすずさんを
名前だけを頼りに探し当てて嫁に迎えるなんて、
ちょっと、こう、純愛っぽいというか、へぇ〜、って気がしちゃうじゃない?
でも、実際は、
「遊女のリンさんとの結婚を反対されて
 『名前しか知らない女の子を探し当てることができたら
  リンさんのことはあきらめる』
 と無理難題を親に言った」
ってことらしいので、周作さん像がガラッと変わっちゃうんですが……。

ただ、こういう周作さん側の事情がないと、
哲が訪ねて来た時のあの行動も、ちょっと不自然だよね。
後ろめたさの理由が、
「好きな男がいたかもしれないのに、勝手な都合で嫁に迎えてしまった」
だけじゃないなら、まぁ、わからんでもないというか、うーん。

このまま興行収入が伸び続ければ、30分追加した拡大版が作られるらしいので、
今はそれを期待しています。
実現されたら、絶対観に行きます!

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桜衣淑乃(SAKURAI Yoshino)
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