朝、いつものように病院へ新聞を届けに行った母から
「父からの手紙を看護師さん経由で受け取りました、
お昼何か買って行くから待ってて!」
とメールが来ました。
お父さんからの手紙!?
えっ、手紙書ける状態なの?
ごはんは自分で食べてるらしいって聞いたけど
まだちょっと不自由でスプーンって話だったような、
ていうか、手紙、えええ、何だろう?
とどきどきして待機していたら、
買い物を終えた母が来てくれました。
ICUから一般病棟に移る時、
母が手持ちの使いかけのメモ用紙……、
うーん、便箋かな? はがきサイズの小さめのものですが、
それとボールペンを父に渡していたそうで、
手紙はそれに書かれていました。
「毎日 手紙ありがとう
手紙を読むと元氣が出るよ」
って。
(原文ママ)
(父は旧字体を好んで使います)
「十日くらいで退院でるといいなと思っています」(原文ママ)
とか、あとは、退院したら、
父が少年時代を過ごした四日市あたりを歩きたいことなどが
綴られていました。
締めの一文は「字が上手く書けなくて御免」でした。
お父さんが手紙書いてくれたー!
ていうか、お父さん、ちゃんと生きてたー!
いや、もちろん先生とか看護師さんとかを
疑っていたわけではないけれど、
スマホを持たない父とは、面会できない今、
直接のやりとりがずっと断たれていて、
言うなれば「イマジナリーお父さん」になりかけていたんだよね。
存在している、ん、だよね……? ……みたいな。
でも、たぶんまだ思うように手が動かせない状態で、
一生懸命、書いてくれて、
うれしかったし、ほっとしました。
さすがに少し、字はちょっとガタついていたけれど、
十分読めるよ、大丈夫だよ!
ああ、でも、ものすごーく時間をかけて書いてくれたのかもしれないなぁ……。
私以上に母が喜んでいて、
「お祝いだから!」とお寿司を買ってきてくれていて、
お昼は一緒にそれを食べました。
……だけど、「十日くらいで退院」は、まだちょっと無理っぽいけどな〜。
まだトイレにも自力で行けてないらしいし。
でもでも、退院した後の夢や目標があるのは
すっごく大事なことだと思う。
リハビリのやる気にも繋がることだろうし、
気持ちが前を向いていれば、少しずつでもよくなっていけるはず。
父からの手紙を、母が何度も何度も読み返したり見つめていたので、
母のケータイで撮ってあげたり、カラーコピーして渡してあげたりしました。
母、キャーキャー言って喜んでいました。
ほんとうによかった。